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国際コンテナ輸送費7倍に=物流危機、干ばつが追い打ち

2024年10月11日

9月のブラジル―中国間の航路の運賃は、40フィートコンテナ1個あたり8500〜9千ドルと、3月の1200ドルから7倍以上に高騰した(2日付ネオ・フィードの記事の一部)
9月のブラジル―中国間の航路の運賃は、40フィートコンテナ1個あたり8500〜9千ドルと、3月の1200ドルから7倍以上に高騰した(2日付ネオ・フィードの記事の一部)

 ブラジルの物流が深刻な問題に直面している。国際コンテナ輸送費が従来の7倍以上に高騰したことに加え、主要な輸送ルートであるアマゾン川の干ばつにより、穀物や化学製品、電子機器など輸出入の多くの部門が打撃を受けている。2日付ネオ・フィード(1)が報じた。
 物流混乱はブラジル経済全体に広がっており、主要港湾での船舶の停泊待ちや倉庫の過密化が原因で物流のボトルネックが発生し、年間210億レアルの損失をもたらしている。特に、サンパウロ州サントス港では輸送インフラの限界が露呈し、船舶の待機時間が最大で29日間に達するなどの問題が発生。
 同港は水深不足で大型コンテナ船が接岸できないため、港の水路を深くする必要がある。このため政府は向こう4年間で120億レアル以上の投資を発表し、インフラ改善に取り組んでいるが、現状としては依然として物流の効率化が大きな課題だ。
 国際市場におけるコンテナと輸送船の供給不足が原因で輸送費が急騰したことで、特にアマゾナス州のマナウス自由貿易地区に位置する産業の低付加価値材料の輸入にも悪影響を及ぼしている。ポリマー輸入業者は輸送費の大幅な増加により、中国や他のアジア諸国からの樹脂の輸入を停止せざるを得なかった。
 さらに、アマゾン川干ばつの影響で物流ルートが遮断され、国内の流通網が混乱し、輸出業者は代替ルートの確保を余儀なくされている。昨年は一部の穀物輸送が道路輸送に切り替えられたが、24年の干ばつは予想外に早く始まったため業者は対応が遅れている。特にアマゾン地域からの輸出は輸送コスト上昇に加え、港や川の水位低下に伴うコンテナ使用制限を補うために輸送会社が課す「干ばつ税」によってさらに厳しい状況にあるという。
 一方、中国からの電気自動車(EV)の大量輸入も物流に負担をかけている。24年上半期には、輸入台数は前年同期比で510%増加し、特に関税が18%に引き上げられる前の4〜6月にかけて輸入が急増して、特に港湾設備への影響が顕著となった。例えば、サンタカタリーナ州のイタポア港ではEVが大量に輸入され、倉庫や輸送スペースが逼迫。輸入に伴う通関手続きの遅延も物流の停滞を引き起こしている。これにより他の商品、特にコーヒーや装飾用の石材の輸出が遅延するなど港湾の運用効率が低下している。
 こうしたブラジルの物流問題は、単に国内の問題に止まらず、グローバルな輸送ネットワークの不安定化も影響している。10月には米国の港湾労働者によるストライキが開始され、約30の港湾が閉鎖されたことで、米国内のみならず、世界中の貿易が停滞し、輸送費のさらなる高騰が予想されている。
 ブラジルのみならず多くの国が国際的な物流の混乱による影響を受けており、向こう数カ月間、国際輸送費は高止まりすると見込まれている。ブラジルの物流インフラの改善が進まなければ、貿易の停滞とそれに伴う経済的損失は拡大する可能性が高いと専門家は警告している。


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