ベネズエラ=ブラジルとコロンビアが懸念発表=ゴンサレス氏への逮捕命令で=関係悪化が致命傷となる可能性

ベネズエラの大統領選でニコラス・マドゥーロ大統領の対立候補だったエジムンド・ゴンザレス氏に逮捕状が出たことに対し、大統領選の詳細な結果を求めているブラジルとコロンビアが強い懸念を示す声明を出した。3日付G1サイト(1)などが報じている。
ブラジルとコロンビア両政府による共同声明は3日に出た。両国は声明で、「ベネズエラの司法当局が2日にゴンザレス氏の逮捕令を出したことに強い懸念を表明する。これは、ベネズエラ政府と野党が事前に結んだ、民主政治の強化と寛容や共生の文化を約束したバルバドス協定に反するものだ」と主張。また、「ベネズエラの主要な政治勢力の間での対話に基づいた平和的な解決策模索を困難にしている」という見解も明記されている。
逮捕命令を出されたゴンサレス氏は3日に声明を発表し、「今出すべきものは私に対する逮捕命令ではなく、大統領選の投票結果だ」との言葉で、逮捕命令に抗議を示している。
7月28日に行われたベネズエラの大統領選は、翌29日未明に中央選挙委員会(CNE)が突然、「マドゥーロ氏が51%の票を獲得した」として勝利を宣言。ブラジルやコロンビアの度重なる要請を無視して、CNEは投票結果詳細をいまだ公表していない。
野党側は独自に投票結果の7割強を調べた結果、「ゴンザレス氏が6割方の票を集め、勝っている」として抗議活動を続けていた。8月22日にはベネズエラ最高裁がマドゥーロ氏が勝利したと発表したが抗議デモが絶えず、検察が2日に文書偽造や騒乱罪を理由にゴンサレス氏に対する逮捕令状を要請。司法当局がこれを認めた。
今回のゴンサレス氏への逮捕命令は、南米におけるベネズエラとブラジル、コロンビアとの関係に強い影響をもたらすと見られている。ブラジル、コロンビアは予てからマドゥーロ政権から逃れてきた移民を最も受け付けている上、ルーラ、ペトロ両政権が左派であることから、マドゥーロ政権と良好な関係を築き、ベネズエラが経済的に破綻しないように支えてきたという面もあった。
また、アルゼンチンなどがマドゥーロ氏の再選を認めないとの立場を明確にしたことで大使追放処分を受けた後、これらの国の大使館の管理を行い、中南米諸国の関係を保つ手伝いをして来たのはブラジルだ。
現状の大統領選の結果発表では、ベネズエラの基幹産業である石油事業に課された国際的な経済制裁が解除されるとは考え難い。そこに加えて、ブラジルとコロンビアとの関係が険悪になれば、ベネズエラの社会、経済状況はさらに致命的に悪化することが考えられる。