アルミニオ・フラガ=「中銀総裁間違うと大痛手」=ルーラの経済政策批判=PT幹部は揃って反発

元中銀総裁で、今も財界に強い影響力を持つエコノミストのアルミニオ・フラガ氏が1日付フォーリャ紙(1)の取材でルーラ政権の経済政策を批判し、「次期中銀総裁選びを間違えれば、ブラジルにとって大きな痛手となる」と発言し、労働者党(PT)の要人たちの強い反感を招いている。
カルドーゾ政権時(1999〜2002年)に中銀総裁を務めたフラガ氏はPTの長年の政敵だった民主社会党(PSDB)の印象が強く、PT関係者からは長い間、敵対感情を持たれていた。
だが、同氏は2022年の大統領選の際、反ボルソナロ主義的な観点からいち早くルーラ氏支持を打ち出し、財界で不利な立場にあったルーラ氏の状況を好転させていた。
が、そのフラガ氏が現在のルーラ政権の経済政策に対する強い不満をフォーリャ紙に対して語っている。その例として同氏はまず、ペトロブラスのような国有企業のガバナンスへの攻撃、ヴァーレのように既に民営化された企業に対する干渉行為、造船業の再活性化や製油所の再国営化への取り組みなどを挙げた。
そうした中でも特に、フラガ氏が不安視している点が二つある。一つは公会計のバランスで、4月の公的負債額が2022年4月以来最大となる、GDP比にして76%にあがったことだ。もう一つが、連邦政府が中銀に圧力をかけ、経済基本金利(Selic)を下げさせようとしていることだ。中銀は5月の会合でSelicを0・25%ポイント切り下げて10・5%としたが、0・5%ポイントの切り下げを図ろうとしていた。
フラガ氏は現中銀総裁のロベルト・カンポス・ネット氏の任期が今年で切れ、ルーラ大統領が新しい総裁を選ぶことを不安に感じており、「ここで人選を間違い、インフレ上昇や市場からの信頼喪失を招けば、それはすぐにでも、政治的大失敗になるだろう」と語っている。
フラガ氏は、5月の通貨政策委員会(Copom)が分裂し、Selic切り下げのペースが鈍ったことで、公的負債を賄うために市場が課す長期金利が大幅に上昇したことで、さらなる金融引き締めが起こるリスクや、連邦政府が中銀を攻撃するような事態が起こることを危惧している。5月のCopomでは現政権が指名した理事たちが従来通りの幅での切り下げを求めたが、フラガ氏は、金融政策を緩めるかの議論は不信感を生み、コストが増大すると指摘している。
フラガ氏の意見に対し、PT上層部は強い反感を示した(2)。グレイシ・ホフマン党首は、「アルミニオ・フラガ氏は、ボルソナロ派のカンポス・ネット氏の後継総裁への信頼を事前に貶めようとするメディアキャンペーンの旗振り役にすぎない。彼らは中銀の独立性という言葉を使い、ルーラ氏が経済や為替のことに手を出すのを禁じようとするだけでなく、財政政策に関しても教えてやろうとでも言いたげな態度をとっている」と批判している。
下院の政府副リーダーのカルロス・ザラッチーニ下議も、「市場の名を借りて連邦政府を脅かそうとしている」と反論している。