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最高裁判事=訴訟関連企業の行事に出席=利益供与禁止に抵触の恐れ

2024年5月16日

最高裁判事11人と連邦検察庁長官(後列右端)(Foto: Antonio Augusto/SCO/STF)
最高裁判事11人と連邦検察庁長官(後列右端)(Foto: Antonio Augusto/SCO/STF)

 最高裁(STF)の判事は、2023年6月から今年5月までの間に22の国際行事に出席しているが、利害関係や費用の透明性がブラジルの司法システムを揺るがす問題を引き起こしているとして、懸念が広がっている。13日付エスタード紙(1)が報じた。
 これらの行事は欧州で開催されたものが多く、民間企業が主催するフォーラムや学術セミナー、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官による機関訪問などが含まれる。
 この問題の焦点は企業の関与とそれによる裁判所への潜在的な影響にあり、判事が訴訟に関係する企業や組織と接触することで、禁止された利益供与に抵触する恐れが生まれ、公正な判断を下すことが難しくなることが懸念されている。
 エスタード紙が明らかにしたように、4月末に英国ロンドンで開催された「法律フォーラム:アイデアのブラジル」はブリティッシュ・アメリカン・タバコ社がスポンサーだった。同社は最高裁に少なくとも2件の訴訟を起こしており、同イベントに参加したジアス・トフォリ判事が報告官を務めた訴訟の利害関係者でもある。
 バンコ・マスターは、その従業員のひとりをフォーラムに参加させ、トニー・ブレア元英国首相のパネル参加費を支払った。バンコ・マスター社はSTFにも上訴しており、こちらはジルマール・メンデス判事のもとで係争中だ。
 さらに、これらの行事への参加費などの資金がどこからどのように提供されているかという透明性の問題も議論されている。全国法務審議会(CNJ)は民間団体が推進する「法律上または文化上の会合」への判事の参加を認めており、2013年の決議で定められた規則では、裁判官、判事、閣僚がこれらの団体から交通費や宿泊費の補助を受けることも認めている。
 21年には、CNJによる別の決定により、全国の裁判官がイベントへの参加について各裁判所に報告する義務がなくなった。以前は、審議会の規則により、裁判所のオンブズマンがデータを一元管理していた。エスタード紙は23年3月、総額1580億レの訴訟を起こした企業が、フォーラムや会議に参加するためにブラジル国内外に出向いた閣僚の出張費を負担していたが、裁判所には体系化された情報がなかったことを明らかにしていた。
 STFによると、航空券を司法機関の予算から支給できるのは裁判長だけだ。しかし、宿泊費や食事代などのその他の費用が司法機関の予算から支払われるかどうかについては言及していない。
 国際人権団体「アーティクル19」のアンドレ・ボセリ氏は、閣僚のイベント参加に関する情報は、判事らの参加を推進した民間業社に要求するのではなく、「最初からすでに公開されているべきだ」という。
 「通常、裁判官はイベントを主催したり、開催資金を提供した民間団体と議論することになる。問題は、こうした場で一部の人々が裁判官に対して特権的な接触を持つことがあるということだ。たとえ会話が公正であっても、実際に何が話されているのか、正確には分からない」と同氏は言う。
 また、「明らかに利害の対立がある。これはSTFと司法当局のイメージダウンにつながる」と指摘した。
 CNJの規則では、裁判官が「いかなる名目や口実であれ、個人、公的機関、民間団体から賞金、援助、寄付を受けること」を禁じている。透明性の確保と規則の遵守が求められているものの、STFは閣僚のイベント参加に関する情報を提供していないため、現状ではその実現が難しい状況にある。
 最高裁は声明で、「判事らは広範な社会層と対話するため、多くの場合、報道機関を含む組織が主催するイベントに参加している」とし、「イベントの費用は主催者が負担し、招待された判事は知識を共有することが期待される。イベント参加は主催者の好意ではなく、利益相反は存在しない」と述べた。


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