閣僚会議=ルーラが大臣らに注文=支持率向上対策を迫る=ボルソナロに「臆病者」

ルーラ大統領は18日、今年初の閣僚会議を開いた。世論調査で不支持率が支持率に迫るなどの状況の中、ルーラ大統領はボルソナロ前大統領への批判を改めて行い、閣僚たちにも支持率を上げるための注文をつけた。19日付UOLサイト(1)(2)が報じている。
クエスト社の行った最新の世論調査では、ルーラ政権への不支持率が5%ポイント増の34%となり、支持率の35%に肉薄していた。その原因は、ルーラ大統領自身がガザ地区に対するイスラエル政府のあり方をナチス・ドイツと比較した発言を行ったり、ベネズエラの大統領選が独裁者とも称されていたウゴ・チャベス前大統領の誕生日に行われることなどで、公正な実施が疑われる中で大統領選の日程が決まったことを喜ぶ発言を行ったことなども含まれていた。
だが、ルーラ大統領がこれらの件には触れることはなく、政治的に行った発言はボルソナロ前大統領に対する批判だった。ルーラ氏はボルソナロ氏を「コヴァルドン(臆病者)と呼び、連警のテンプス・ヴェリタティス作戦にまつわる空軍と陸軍の総司令官らの供述の話題に触れ、「彼らが賛同していたらクーデターが起きていた」「結局は国外に逃げて成り行きを見守ろうとした」と批判した。
この発言は、ボルソナロ派のソステネス・カヴァルカンテ下院副議長(自由党・PL)が「中身のない政権が行う、予想できる内容」と批判したのを始め、野党側からは「支持率を上げるための戦略」として反発を受けた。
ルーラ氏は2023年を「前政権で失われたものを復旧させる年」とも位置付けたが、今年からは政権の成果が問われると閣僚らを鼓舞。「現状で閣僚交代はない」としながらも、閣僚たちに次々と注文をつけた。
特に注目されたのはニジア・トリンダーデ保健相で、罹患者数が急増中のデング熱を問題視し、ワクチン接種率を上げるよう注文をつけた。ニジア氏はルーラ氏が絶大な信頼を置いている閣僚の一人で、その予算の多さからセントロン勢力がしばしば保健相の座を狙っていると報じられながらも、大統領が守ってきている経緯もある。
この会議後、ニジア氏は、問題が噴出しているリオ州の国立病院を管轄する保健省内の病院運営局と特殊医療事務局の局長を解任する人事を行った。同州の国立病院六つの院長も交えた委員会の開催や運営・管理の強化も約束した。
また、ルーラ氏はその場にいた閣僚たちに対し、「特に新しいプロジェクトがなくても旅行訪問をたくさんするように」と促し、それが政府の提案のポートフォリオ作りに役立つと訴えた。
各閣僚に対する個別の注文も行われ、アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官に対してはアルトゥール・リラ下院議長との関係強化が、リカルド・レヴァンドウスキー法相にはリオ・グランデ・ド・ノルテ州モソロー連邦刑務所の脱走囚問題の解決が、ウェリントン・ジアス社会開発相には飢餓貧困対策に関する提案が、シーダ・ゴンサルヴェス女性相には男女給与格差是正のための対策が求められた。
フェルナンド・ハダジ財相に対しては具体的な課題は求めなかったが、会議では世論調査で国民の景気観測が悪化していることが指摘され、「主要な食品類が値上がりしているからではないか」との分析が行われた。