site.title

アマゾンで干ばつと洪水が同時に発生=保健衛生で非常事態宣言

2024年3月5日

水に覆われたリオ・ブランコ市(Pedro Devani/Secom)
水に覆われたリオ・ブランコ市(Pedro Devani/Secom)

 1日付エスタード紙(1)などによれば、アマゾン熱帯雨林地域では干ばつと洪水という極端な気候現象に同時に見舞われ、数千人が家を失い、死者まで出ている。ロライマ州では火災最多件数を記録して煙が都市部まで覆い、アクレ州では2月下旬にアンデス山脈を襲った記録的な豪雨の影響で大洪水になっている。
 専門家からは「干ばつや洪水は、人間の介入によって引き起こされる自然界の不均衡を示すもの」との声も出る一方、アマゾン内で同時に干ばつと洪水が起きるのは初めてではなく、エルニーニョとラニーニャ両現象の繰り返しと関係があり、政府の対応が後手に回っているとの指摘が報道されている。
 2~4日付アジェンシア・ブラジル(2)(3)(4)によれば、アクレ川の水位上昇は2月から続き、2月22日にはリオ・ブランコ市でも危険地域住民の避難が始まった。また、2月25日付G1サイトなど(5)(6)によると、アクレ川は22日に氾濫危険水位の12・40メートルを超えた。同日から出始めた非常事態宣言市は2月25日の時点で22市中17に到達。これらの市は国の認定も受け、同日付号外版連邦官報に掲載された。中には、ブラジレイア市のように、市の8割が水に覆われる自治体も出ている。
 だが、アクレ川の水位上昇はその後も続き、2日午後には17・52メートルに達した。4日付アクレ州政府の公式サイト(7)によると、4日9時現在の水位は17・78メートルで、2023年4月3日に記録した17・72メートルを超えた。現在の水位は2015年3月5日に記録した18・35メートルに次ぐもので、さらに2市が非常事態を宣言。州環境局はアクレ川以外の川の水位も観測中だ。
 長期間の洪水は保健衛生上の問題も引き起こすため、アクレ州政府は1日の時点で保健衛生上の非常事態を宣言した。懸念されるものは、ネズミの糞尿が引き起こすレプトスピラ症やデング熱といった感染症、水や食料へのアクセスが困難になることで生じる健康被害、地域の基礎保健機関での治療中断による基礎疾患の悪化で、サソリや蛇、クモなどの有毒動物による事故のリスクも高まる。
 4日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、4日は地域開発省や環境省、保健省、飢餓対策・家庭社会支援・開発省、農業開発省、国防省などの閣僚や職員が現地を視察。2月中に非常事態を宣言した17市は、この日の視察や会合を経て決められた政府からの復興支援金などの要請が可能になった。
 他方、同じ北部でもロライマ州は様相が異なる。同州では2月28日現在で、焼き畑や森林火災などを含む火災件数が2600件を超え、全国で起きた火災の30%を占めた。
 2月29日付G1サイト(9)(10)は火災の原因として、エル・ニーニョ現象で高温・少雨となり、深刻な干ばつが起きていること、農夫が農場や牧場をきれいにするために行う焼き畑の二つを挙げている。
 雨不足と高温で、土地や農産物が干上がる中、自然発火や焼き畑などで上がった火の手が急速に燃え広がり、家屋や森林、農作物などを焼き尽くす事態は各地で繰り返され、大気の状態が悪化(2月21日付G1サイトなど(11)(12)参照)。健康被害が深刻化している上、森林伐採とも相まってアマゾンの生態系にも甚大な影響が出ている。


ルーラ=領土問題より大統領選=べネズエラ大統領と会談=野党に不当抑圧続く中前の記事 ルーラ=領土問題より大統領選=べネズエラ大統領と会談=野党に不当抑圧続く中【4日の市況】米国でのイベントが目白押しの週明けにボベスパ指数は0.64%下落=水曜日のパウエルFRB議長による米議会発言や米労働市場データが投資家の注目を集める次の記事【4日の市況】米国でのイベントが目白押しの週明けにボベスパ指数は0.64%下落=水曜日のパウエルFRB議長による米議会発言や米労働市場データが投資家の注目を集める
Loading...