暴力が経済に深刻な悪影響=治安対策費GDP5・9%

犯罪と暴力がブラジルGDPを0・6%ポイント押し下げる(6日付ギア・ド・インヴェスチドールの記事の一部)
犯罪と暴力がブラジルGDPを0・6%ポイント押し下げる(6日付ギア・ド・インヴェスチドールの記事の一部)

 ブラジル内の暴力事件が後を絶たず、経済にも深刻な影響を与えている。応用経済研究所(Ipea)のデータによると、ブラジル企業は暴力事件を防ぐためのセキュリティ対策費に年間約1710億レアル(5兆1600億円)を費やしている。これは2022年のGDPの1・7%に相当する。26日付エスタード紙など(1)(2)(3)が報じている。
 この分野における企業の直接支出は、ブラジルにおける暴力がもたらす社会的・経済的コストの一部にすぎない。Ipeaによると、国内の治安維持にかかる年間経費はGDPの5・9%、5950億レアルに相当すると推定されている。この額には民間企業の警備支出だけでなく、殺人で生じる人的資産の損失とそれを補完するために必要な時間や経費を含む生産性損失や治安対策のための政府支出なども含まれる。
 テメル政権下の2018年に行われた研究では、1996〜2015年の犯罪による経済的負担はGDPの4・38%を占めており、同年に行われた治安関連の別の調査では、GDPの5・55%の損失が推定された。これは当時の価値で、国民一人当たり約1800レアル(約5万5千円)の税金に相当する。
 治安維持のために多額の公的支出が必要となり、本来なら医療や教育といった分野に投資されるはずの資源が失われれば、国の発展も危ぶまれる。また、殺人事件や銃撃戦の発生で学校や商店、工場などが閉鎖され、勉学や仕事の機会が失われたりすれば、学習・労働意欲も低下するなど、治安の悪さは生産性にも直接的な影響を及ぼす。
 企業にとり、暴力は、犯罪の多い地域での商品輸送のためにより高額な保険に加入するなど、追加の生産コスト増を意味しており、製品の値上げや生産性の低下として現れる。さらに、暴力によって住民が危険地域を離れれば、不動産の価値を下げる上、企業は労働力確保という課題にも直面する。
 「盗難による損失に加えて、評価額の減少による損失も大きい。安全性の問題から、同じ設備やスペースを持つ別の不動産と比べて、不動産の価値が30%低くなることもある」と、経済学者でIpea研究のダニエル・セルケイラ氏は説明する。
 5日付エスタード紙(4)によると、国際通貨基金(IMF)が実施した調査では、ブラジルにおける暴力は同国経済に大きな影響を与えており、GDP成長率を0・6%ポイント低下させていることが明らかになった。この研究では、ブラジルの犯罪率を世界平均まで減少することができれば、経済を押し上げることができると指摘している。
 国連によると、2021年、ブラジルは人口10万人当たり21・26人という高い殺人件数を記録した。この数字は、世界平均の5・8人/10万人を大きく上回っている。
 暴力が経済のパフォーマンスに与える影響は様々だが、生産性には直接的な影響を与える。「国が成長するためには生産性が必要だ。我々の調査結果は、犯罪が資本蓄積に害を及ぼし、窃盗や暴力を恐れる投資家を遠ざけ、経済の生産性を低下させる上、私有財産の安全性を高めるような生産性の低い投資に資源を振り向けさせることを浮き彫りにした」とセルケイラ氏は述べた。
 専門家らは、暴力の問題を解決し、経済への影響を緩和するには、計画的な行動と賢明な支出が必要だと考えている。最初のステップは問題の正確な診断を行うことで、犯罪組織の規模を縮小し、若者の犯罪への関心を減らす取り組みのためには、長期的な計画と持続的なリソースの確保が必要だとしている。

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