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連警がPL本部から戒厳令原案=閣僚会議動画に問題発言=テメル元大統領「国には平静が必要」

2024年2月10日

22年7月の閣僚会議(X)
22年7月の閣僚会議(X)

 【既報関連】8日に行われた連邦警察の「テンプス・ヴェリタティス作戦」に関し、連邦警察が自由党(PL)本部で戒厳令にあたる「シッチオ」の法案(ミヌタ)を発見したことが明らかになった。また、連警は、大統領選前の2022年7月に行われた閣僚会議でのボルソナロ前大統領や閣僚たちの発言を問題視している。8日付G1サイト(1)、UOLサイト(2)、CNNブラジル(3)(5)(6)、フォーリャ紙(4)などが報じている。
 「包囲状態(estado de sítio」は戒厳令の一種で、緊急事態の際に大統領が立法と司法の権限を一時的に停止できる。国家の存亡に関わる戦争などの場合、政府の迅速な行動が必須の時に運用される。ブラジル憲法では第137条などに概要があるが、その詳細を「法案」として検討していたとみられる。
 昨年1月8日の三権中枢施設襲撃事件では、勃発の数日後に22年の大統領選の結果を無効にするミヌタがアンデルソン・トレス元法相の自宅から発見され、注目を浴びたが、CNNブラジルによると、今回のミヌタはPLの党本部の中、それもボルソナロ前大統領が使用している部屋で見つかったという。 今回、発見されたミヌタには、「憲法の中で定められた4行を超えた無秩序な状態ではこの条例の発令もやむなし」との文言が書かれていたという。「憲法の中で定められた4行」という言い回しは、ボルソナロ氏が大統領在任中に最高裁を批判する際にしばしば繰り返して使用した表現だ。
 また、ミヌタの中には、「法の秩序の保証(GLO)」という、社会が無秩序状態の時に行う例外的な軍の発令の発表も含まれていた。
 ただ、そのミヌタには署名がなく、誰が作成責任者なのかが明らかになっていない。ボルソナロ氏の担当弁護士のパウロ・クーニャ・ブエノ氏は、「前大統領はこのような書類は知らない。実行するとすれば、連邦政府内の委員会や連邦議会の承認が必要となるが、そのようなことは起きなかったではないか」と強く反論している。
 また、連警はボルソナロ前大統領が22年7月5日に行った閣僚会議の内容を問題視している。この閣議のビデオは、グローボ紙のジャーナリストが入手し、9日に公開されて話題を呼んでいる。
 ボルソナロ氏はこの会議の中で、「大統領選は世論調査が指摘しているようにルーラ氏が一次投票で勝つだろう。選挙高裁のコンピューターが決めることだからな」と発言している。ボルソナロ氏はさらに、「最高裁はルーラ氏を当選させる準備に入っている」とし、ルイス・ロベルト・バローゾ判事やエジソン・ファキン判事の批判を行っている。
 さらに、「来週の金曜日に大使らを招いて会議を行うつもりだ」と発言している。その会議とは、公費を使った会議で選挙システムに関する虚報を外国大使らに向けて発信したとして、ボルソナロ氏が8年間の選挙出馬禁止を宣告される契機となったものだ。
 この閣議では、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官(当時)が「選挙が始まる前に形成を逆転させなければ」と発言。パウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相(当時)は選挙高裁を敵と呼び、戦うことを誓っていた。
 今回の捜査や一連の報道は前大統領派の政治家らに「司法の政治支配」との憤りを生じさせているが、聖職者たちは沈黙を守り、ボルソナロ氏から徐々に遠ざかる姿勢さえ見せている。これに対し、前大統領との関係の親密さで知られる福音派大物牧師のシラス・マラファイア氏は「臆病者」と怒りを表明している。
 また、テメル元大統領は9日にCNNの取材に応えて、「深刻な事件を乗り越え、ブラジルは前進する必要がある。国民の平穏、国の平和を求める必要がある」「ルーラ政権が今後2、3年、前政権や以前の政府について批判し続けることを想像してみてほしい。私たちには和平のメッセージが必要だ」とのコメントを出した。


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