サンパウロ市=地下鉄とCPTM終日スト=民営化に反対、州政府と対立=タルシジオ「政治的で違法」

3日、かねてからの宣言通りにサンパウロ市地下鉄、パウリスタ都電(CPTM)、サンパウロ水道公社(Sabesp)がストを敢行。聖市民の足に大きな影響が出た。タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和者・RP)は、「このストは政治的なものだ」として不快感を表明。自身の進める民営化は止めないことを宣言した。同日付UOLサイト(1)などが報じている。
今回のストは3日午前0時1分から、24時間の予定で始まった。運行を止めたのは地下鉄の1、2、3号線とモノレールの15号線、CPTMの10、12、13号線で、完全に運行を止めた。
その一方、既に民営化されている地下鉄4、5号線、CPTM8、9号線は終日、通常運転を行った。また、CPTM7、11号線は部分運転を行い、前者がルス~カレイラス駅間、後者がルス~グアイナーゼス駅間を運行した。
このストのため、市内のバスは従来路線を100%運行するだけでなく、線を増強してこの日に臨んだ。また、自動車の乗り入れ規制「ロジージオ」もこの日は免除された。
ストの対象となった路線の駅の改札口には警備員が立ち、利用者の侵入に備えたが、今回のストは先週から予告されていたため、駅に人は少なかった。
フォーリャ紙(2)によると、利用者たちは各々で対策を講じ、前日から親戚の家に泊まる、バスや運行している地下鉄やCPTMを利用した別ルートでの出勤方法を模索するなどした。
それでも、市内の交通は3日の午前9時に582キロの渋滞を記録。前日はそれが214キロだったので、倍以上の渋滞となっている。地区別の平均で見ると、北部で通常の32%増だったのを筆頭に、中央部14%増、東部18%増、南部25%増となっていた。
また、バス乗り場やアプリのタクシーを待ち場も、長蛇の列でごった返した。
他方、3日はSabespの職員もストを行ったが、市民が心配した、水が出なくなるような事態は起こっていない。Sabespの組合員らは営業している地下鉄の駅前などで民営化反対のデモを行っていた。
また、3日は航空機メーカーのEmbraerの従業員もインフレ率以上の賃金調整を求めてストに入ったが、軍警と対立しそうになったため、安全上の理由でストを打ち切り、9時過ぎに仕事に就いた。組合は次のストを示唆している。
タルシジオ知事は3日朝、「今回のストで民営化への意向がさらに強まった」と発言。今回のストは、民営化されたCPTM8、9号線で故障が続き、市民から不満の声が上がっていることも一因だが、同知事は「我々の行っていることは正しい」とし、既に民営化されている路線を称えた。他方「今回のストは違法で政治的なもの」と組合側を非難した。
今回のストはサンパウロ州労働裁が「ピーク時は100%運行させること」を条件としたが、組合側は守らず、控訴の構えでいる。4日以降もストを続けるかは3日18時の組合の総会で決められる。
なお、3日はグアルーリョス空港で貨物の積み込みや積み下ろしを行う派遣職員が勤務中の携帯電話使用を禁じられたことを不満としてスト入りし、ラタン社の便などに遅れその他の影響が出た。