BRICS首脳会議(下)=6カ国の新規加入を承認=中国主導、ロシアにも配慮

【既報関連】ヨハネスブルグで開かれていたBRICS首脳会議は24日で幕を閉じ、ルーラ大統領は次の訪問地アンゴラに向かったが、BRICSへの新規加入国の承認や国連安保理の常任理事国入りに関する交渉では中国の影響力に抗いきれなかったようだ。
23日付アジェンシア・ブラジル(1)によると、会議2日目の23日は、本来のBRICS5カ国の会議と加入希望国や友好国約40カ国の首脳も参加する拡大会議が開催された。
5カ国会議の議題の一つはロシアによるウクライナ侵攻で、23日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、ルーラ大統領がブラジルはウクライナでの即時停戦と恒久平和に向けた努力に貢献したいと述べたが、これに対し、ビデオ参加のロシアのプーチン大統領が不快感を表す場面も見られた。
24日付ポデール360サイト(3)によると、今回の首脳会議の宣言では各国は主に国連を批判。ロシアに配慮してウクライナについては一度だけ言及して、「我々は、アフリカ指導者の平和使節団や和平への提案を含む、対話と外交を通じた紛争の平和的解決を目的とした調停や善意の提案を歓迎する」とだけ宣言した。
同宣言では、国連安全保障理事会が地球規模の課題に適切に対応し、アフリカ、アジア、ラテンアメリアの新興国や発展途上国の正当な願望を支援するため、ブラジル、インド、南アフリカを含む発展途上国の代表を増やすべきと主張。ブラジルは以前から常任理事国入りを願っているが、常任理事国希望国には日本やドイツも含まれており、常任理事国入りは容易ではない。
24日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)(6)(7)によると、ブラジルは今回、急速なブロック拡大を主張する中国に対し、新興国や開発途上国は協力しあうべきだが、BRICSは欧米諸国への対抗馬ではないと牽制する一方、安保理入りへの支援を条件にイデオロギーも絡んだ加盟国承認に応じたとされている。ブラジルは以前からアルゼンチンやサウジアラビアの加入を支持していたが、宣言では両国とエジプト、アラブ首長国連合、エチオピア、イランの6カ国が同ブロックに参加するよう招かれたと24日付G1サイトなど(8)(9)(10)が報じた。
24日付テラサイトなど(11)(12)によると、会議に参加中の各国代表はこの招待を喜んだ。他方、24日付フォーリャ紙サイト(13)によると、アルゼンチンの次期大統領候補はこの決定を批判しているという。
宣言では新開発銀行(NBD)にも触れ、各国の持続的開発とインフラへのプロモーションで基本的な役割を果たしているとし、ジルマ総裁の働きへの謝辞も述べた。今会議の議題の一つは共通通貨策定で、23日付アジェンシア・ブラジルなど(14)(15)によると、ルーラ氏は共通通貨は脆弱性を軽減すると擁護。ハダジ財相はブラジルがアルゼンチンへの輸出を中国元で保証することを提案した。23日付Valor紙など(16)(17)などによると、ジルマ氏は各国への融資を各国通貨で行う意向も表明している。