「全ての人に電気を計画」=ルーラ大統領が再開宣言

ルーラ大統領が4日、アマゾナス州パリンチンスで「全ての人に電気を計画(Programa Luz para Todos)」の再開を宣言したと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
同計画は第1期ルーラ政権の2003年に始まったもので、今回はブラジル北部や法定アマゾンの辺境部を中心とする農村部への電力供給を保証することを目的に再始動した。ルーラ氏は計画再開を宣言した式典で、政府はアマゾン、特に、この地域に住む人々に配慮すると強調した。
大統領は、「アマゾンを大切にするということは、アマゾンを聖域にしたくない、それぞれの小川、それぞれの動物、それぞれの鳥、それぞれの花、そして水を大切にしたいと言うことから始めるということだ。何よりもアマゾンの人々を大切にしたい。我々はやるべきことをやるつもりで、公有地の違法採掘や違法伐採者は受け入れないし、認めない」と述べた。
また、週明けにベレン市で開かれるアマゾン・サミットにも触れて、アマゾンの森林地帯を領土に含む8カ国の首脳が集まり、アマゾンの持続可能な開発に向けた政策を話し合うと述べた。
大統領は、「今も電気の恩恵を被っていない15万人に電気を届ける。前政権では1600万人が電気の供給を受けるようになった。この計画に反対する人は、ランプを使う大変さを知らず、灯油の煙を嗅いだことのない人だけだ。それが好きならディーゼル油を売ればいい。だが、国民は光を望んでいる」とも続けた。
再開後のプログラムはエネルギー貧困と戦い、先住民族やキロンボラ(逃亡したり、解放されたりした黒人奴隷のコミュニティ住民か出身者)、伝統的なコミュニティの文化を評価、尊重するためのガイドラインに基づいて進められる。現政権は、2026年までに最大50万世帯に届くことを目指している。
2003年以降、同プログラムによって公共配電サービスを利用できるようになったのは360万世帯。大統領府は、「新段階の課題はより公平でより包括的な電力への普遍的なアクセスと電力使用のための政策構築」との声明を出している。
なお、4日はアマゾナス州のパリンチンスとイタコアチアラ、パラー州のジュルチーで国家相互接続システム(SIN、通称トゥクルイ線)との相互接続も開始された。
このプロジェクトの検討開始は2006年だが計画が遅れ、2018年の送電入札で17・6億レアルの投資を得て、効果的な相互接続実現への歩みが始まった。同線は総延長480キロで、パラー州オリシミナ市から始まり、ジュルチー市とも接続している。
相互接続プロジェクトには250メートルを超える塔の建設が含まれている。アマゾン川は乾季と雨季の差が大きく、川が洪水を起こす時期と水位が下がる時期の双方に備えた計画が必要だ。パリンチンスにはアマゾン川を横切る区間が3・8キロ、支流を横切る区間が4・5キロある。
再開宣言式典では、ロライマ州とSINを結ぶマナウス/ボア・ヴィスタ線の工事開始のための書類への署名も行われた。この工事への投資額は26億レアルで、2025年9月に完成する予定だ。ロライマ州はSINから孤立している唯一の地域で、ボア・ヴィスタと近隣市住民は天然ガスやディーゼル油、バイオマスを使う火力発電所と小型水力発電所に依存している。
同式典ではブラジルと国境を接する国々との電力の相互提供についての大統領令の署名も行われた。