1月8日調査委員会=クーニャ氏「襲撃可能性事前に伝えた」=諜報機関副長官が証言=大統領府の情報共有は?

1日、1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関する両院合同議会調査委員会(CPMI)で、ブラジル情報庁(Abin)副長官だったサウロ・モウラ・ダ・クーニャ氏が証言を行った。同氏は襲撃当日、ゴンサルベス・ジアス(通称Gジアス)大統領府安全保障室(GSI)長官(当時)に対し、襲撃の危機を伝え、会話もしていたことを明かした。同日付エスタード紙サイト(1)、G1サイト(2)などが報じている。
クーニャ氏はこの証言で、襲撃当日の1月8日の午前8時頃、Gジアス氏と最初の連絡を取り、ボルソナロ前大統領支持者たちを乗せて到着したバスは7日の時点で105台に達したとワッツアップで伝えたという。同氏によると、2日前の時点では43台だったのに、倍以上に増えていたという。
クーニャ氏からの連絡に対し、Gジアス氏は「何か問題が起きそうな気がする」と答えていたという。
クーニャ氏はさらに、その約5時間後の13時30分にGジアス氏に「人の群れが行進を始めている。侵入行為か暴力行為が起きそうだ」として、集団が大統領府や連邦議会、最高裁の中に入ることを恐れるメッセージを送ったという。
クーニャ氏は1月2日から8日にかけて計33回、Gジアス氏に注意を促す連絡を入れていたという。だが、連邦政府内での機関には各々に規定があり、Gジアス氏がその他の機関に情報を流し、共有していたかはわからないと説明している。
この証言はボルソナロ前大統領支持者により、ネット上で拡散されて話題となった。ボルソナロ派はかねてからこの襲撃事件では、「連邦政府の警備に不備があった」との説を支持していたためだ。
また、クーニャ氏の証言は、これまで「危機が事前にうまく知らされていなかった」と主張していたGジアス氏の矛盾を突くものでもあった。
今回のクーニャ氏の召喚は、元Abin長官のアレッシャンドレ・ラマジェン下議(自由党・PL)やマルコ・フェリシアーノ下議(PL)、ニコラス・フェレイラ下議(PL)、イザルシ・ルーカス上議(民主社会党・PSDB)、マグノ・マルタ上議(PL)といった保守派議員たちの要望で行われたものだ。
この中の一人、イザルシ上議はクーニャ氏の召喚を要請する文書の中で「前政権から人事の交代が進んでおらず、事件当日もAbinは役員が不足している状態だった」とし、ルーラ政権の警備上の不備を主張している。当日までに正式指名を受けていた役員はクーニャ氏のみで、同氏が実質的な責任を負っていた。
1日付メトロポレス・サイト(3)によると、一方のGジアス氏はこの日、下院で行われたセン・テット(MST)の議会調査委員会(CPI)に召喚されて証言を行った。
同氏はこの日、襲撃事件に関する質問には答えないことにしていた。だが、クーニャ氏がCPMIで証言したことによって保守派の下議が刺激され、メシアス・ドナート下議(共和者・RP)が「あなたは襲撃者に水やコーヒーを与えて解任され、イメージが汚されたと思わないか」と挑発。Gジアス氏は「間違ったことを」と反論した。襲撃者に水を与えたのは別の人物で、Gジアス氏は自ら辞任している。