ルーラ、日本等4カ国にビザ再義務化=ボルソナロが一方的に免除=観光客非増加で、10月から

 ルーラ大統領(労働者党・PT)は、米国、カナダ、オーストラリア、日本の4国に対し、入国の際にビザ取得を再義務化することに決めた。8日付フォーリャ紙サイト(1)などが報じている。
 外務省は既に、対象となる4カ国に対し、それらの国がブラジル人の入国時に課しているのと同様にビザを求めていく意向であることを伝えている。同4カ国ではブラジルはビザ免除の対象国ではない。
 連邦政府は、外務省の伝統である「相互主義の原則」に基づいた入国手続きに戻すことで起こりうる問題の研究も行っている。
 この4カ国に対して入国の際のビザ提示を不要とすることは、2019年3月にボルソナロ前大統領が大統領令で発表。同年7月から施行されていた。
 この大統領令は、ボルソナロ氏が初めてトランプ(当時)大統領との会談を行うために渡米する直前に出された。ビザ免除の対象となったのは観光や商用、スポーツや芸術その他の活動で、「公益に関わる特別な場合」を対象としていた。
 だが、このときから既に、「伝統に沿っていない」として外務省から反発の声も上がっていた。
 今回、ルーラ大統領がこの判断に踏み切ったのは、ビザを不要としてもこれらの国からの観光客増、観光収入増につながらなかったと見ているためだ。
 米国の場合、2018年から19年にかけては、39万1千人から43万9千人にと12%の観光客増があった。だが、パンデミックをはさんではいるものの、2022年の観光客は35万5千人に減少していた。
 日本に関しては、2018年から19年の比較でも5万9千人から5万6千人と、ビザが免除された直後に入国者が減っており、2022年に関しては1万6800人にとどまっていた。
 ボルソナロ前大統領は8日、ツイッターでルーラ政権のこの判断を批判した。ボルソナロ氏はグローボ局による記事を添え、「観光客を増やしていたというのに、これでは雇用も減り、ホテル部門も活性化されなくなってしまう」と嘆いた。
 9日付G1サイトによると、ビザの提示の再開の時期は10月1日からとなっている。
 この報道を受け、ネット上では、これからブラジルに渡航予定でいる日本人たちの間で、「どうして突然」「ビザなしの方が長い目でみて観光客増につながる気がするのだが」といった困惑の声も聞かれている。

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