次期ルーラ政権、3党に議会協力を要請=ウニオンなど意外な名前も=リラ再選支持は危険な賭け?

次期ルーラ政権が協力政党として、社会民主党(PSD)、民主運動(MDB)、ウニオンを迎えたがっていることが明らかになった。また、次期下院議長に現職のアルトゥール・リラ氏(進歩党・PP)の擁立も有力視されているが、内部で反対の声も上がっていると5〜8日付現地紙、サイトが報じている。
大統領選で当選は果たしたものの、10月2日の連邦議員選の直後から、ルーラ氏の政局運営は難しいと言われていた。それは左派政党の議席が過半数にはるかに及ばず、議会内では保守派やセントロンが優勢とされていたためだ。
現状では、今回選挙でコリガソン(連立)を組んだルーラ氏の労働者党(PT)とブラジル共産党(PCDoB)、緑の党(PV)が80人で、ブラジル社会党(PSB)や民主労働党(PDT)、社会主義自由党(PSOL)、アヴァンテなどを足しても下院全体の3分の1にも届かないのが現状だ。
そこで、ルーラ氏は現在、PSD、MDB、ウニオンの3政党に協力を呼びかけている。下院でのPSD、MDBはともに42人ずつ、ウニオンは59人と、いずれも規模の大きな政党だ。
元サンパウロ市市長のジルベルト・カサビ氏が党首を務めるPSDは選挙中から、ルーラ氏が政権をとった際の協力が予想されていた。同党はジウマ政権時代に連立しており、カサビ氏自身も今回選挙でルーラ氏を支持していた。だが、党内ではルーラ氏とボルソナロ氏で支持が分かれていた点で課題は残る。
MDBは同党の副大統領だったテメル氏との仲が決裂したことでジウマ氏が罷免に追い込まれた遺恨はあるが、元上院議長のレナン・カリェイロス氏をはじめ、親PT派は少なくない。次期政権でも、決選投票でルーラ氏を強く支持した大統領候補シモーネ・テベテ氏の閣僚入りが確実視されているため、協力の可能性は高いとみられている。
ウニオンは「意外な名前」として驚かれている。同党の前身政党のひとつである民主党(DEM)は伝統的な保守政党でPT政権と組んだ経験がない。もうひとつの前身の社会自由党(PSL)もボルソナロ氏の元所属政党だ。だが、同党元党首で現在ウニオン党首のルシアノ・ビバール氏はボルソナロ氏と決裂状態にあり、ルーラ政権に対してもかなり前向きに受け入れる意向を既に示している。
ルーラ氏は、次期下院議長選でアルトゥール・リラ氏の再選を望んでいるとも言われている。リラ氏はボルソナロ大統領に忠実な人物の印象が強いが、保守派の調整役が見込まれている。所属のPPもジウマ政権の頃まではPTの連立政党だったという経緯もある。
ただ、レナン・カリェイロス氏らは、「政敵に身を預けることになる」として警鐘を鳴らしている。
一方、共和者(RP)は既に野党になることを宣言。ボルソナロ氏所属の自由党(PL)も野党の宣言を行うことが確実視されている。同党はルーラ氏の時代にジョゼ・アレンカール氏が副大統領を務め、現在も党内に少なからずルーラ氏の支持者がいるが、ボルソナロ氏を最優先する意向だ。