《ブラジル》平均所得が大幅に減少=統計開始以来の最低額に

インフレ調整後の平均月収の推移(10日付G1サイトの記事の一部)

 地理統計院(IBGE)が10日、2021年の国民1人あたりの平均月収は2265レアルで、2012年の統計開始以来、最低となったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
 IBGEによると、昨年の平均月収は前年の2386レアルより5・1%減り、過去最大幅の減少となった。それまでの減少幅は2020年の3・4%減が最高だった。20年は新型コロナのパンデミックによる失業率上昇が主要因だったが、昨年は就労者数が増えて失業率も減り始めた一方で、インフレ高進も始まる中での所得減となった。
 平均月収は給与所得や年金その他の収入をすべて加味して計算される。IBGEは各年の平均月収をその年のインフレ率で調整した額で増減を比較しているが、昨年の2265レアルは、同種の統計を開始した2012年の2369レアルも下回っており、最低額となった。
 昨年の場合、働いて収入を得ていた人の割合は38・7%から40・2%に増えたが、非正規雇用者が増えた事や新たに採用された時の給与が減った事などで、給与所得そのものは前年比で4・6%減少している。
 給与所得以外の収入は、ボルサ・ファミリアやアウシリオ・ブラジルといった生活扶助や緊急支援金、年金、恩給などだ。
 IBGEによると、生活扶助や緊急支援金による収入で生活している人の割合は14・3%から10・6%にと30・1%減った。これは、社会保障システムを切り替えた際に受給者が減った事や緊急支援金が打ち切られた事が影響している。
 2020年は緊急支援金や生活扶助で生活している人は6800万人に及び、前年比で12・3%増えていた。 
 また、新型コロナの犠牲者の多くが高齢者だった事や年金受給年齢引き上げなどで、年金や恩給で生活する人も5・3%減少した。
 収入源別に見て唯一増えたのは、家賃などで生活する人だけだったという。

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