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COP30を別の都市へ?=宿泊費高騰が国際的問題に

2025年8月2日

COP30開催地のパラー州ベレン市(Foto: Governo do estado do Pará/Reprodução)
COP30開催地のパラー州ベレン市(Foto: Governo do estado do Pará/Reprodução)

 11月の第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)の開催地を、北部パラー州ベレン市から他の都市に変更するよう、ブラジル政府に圧力をかけている国々があることが明らかになった。議長を務めるアンドレ・コレア・ド・ラゴ大使が7月31日に明らかにしたもので、主な理由は会議期間中の宿泊施設が「法外な」料金を請求しているためだと同日G1など(1)(2)が報じた。

 COP30はアマゾン地域初の国連気候変動会議で、190カ国以上の国家元首、閣僚、外交官、市民の代表者ら、総勢約4万5千人が集まる大規模イベントとなる予定だ。1月8日付ポルタルINサイト(3)によればベレン市のホテル客室数は5770余り、ベット数にして1万8千ベッドしかなく、予約争奪戦が繰り広げられた結果、値段が爆あがりした。

 宿泊料金が一泊1万レアル(約27万円)と、通常の15倍にまで跳ね上がるケースも報告されており、これが国際的な批判を浴び、外交的な軋轢を生んでいる。

 外国特派員協会(AIE)とブラジル石油ガス協会(IBP)の共同主催で行われた会合の中で、ラゴ氏は「高額な料金を請求されていることに対して、特に開発途上国からの反発が強く、このままでは会議に参加できないと訴えている」と説明。「ブラジル政府は解決に向けた努力を続けているが、ホテル業界の一部は依然として高額料金が外交的に悪影響を及ぼすことを理解していない」と述べた。

 この問題が国際的に注目を集めるきっかけとなったのは、アフリカ交渉団議長リチャード・ムユンギ氏がロイター通信に、複数の国々が会議の開催地を他の都市に移すよう正式に求めていることを明らかにしたことだ。同氏は「参加者数を減らすことを避けたい」と語り、参加国が適切な宿泊施設の提供を求めていることを強調。「ブラジルには多くの選択肢があるはずだ」と述べ、価格引き下げを求めて圧力をかけ続けている。

 8月1日付フォーリャ紙(4)は、アフリカ交渉官グループや後発開発途上国(LDC)などの団体を含むCOP30の交渉担当者25人が、宿泊料金問題が解決されない場合、イベントの一部を別の場所に移すよう提案する文書に署名したことを報じた。署名国の中にはオーストリア、カナダ、スイスなどの先進国も含まれる。

 ブラジル政府は、内閣官房主導で価格引き下げに向けた作業部会を組織し、問題解決に取り組んでいる。先月、開発途上国向けに1泊220ドルという低価格の宿泊施設の予約受付を開始。クルーズ船2隻を利用した宿泊施設を6千室分確保するなどの追加措置を講じた。だが、この対策でも価格は高額であり、特に貧しい国々の代表者にとっては負担が大きい。

 欧州の国々ですら、宿泊費の高騰が原因で参加人数減を検討中だと報じられている。オランダは従来のCOPで90人規模の代表団を派遣していたが、今回はその半分に縮小する可能性があるとし、ポーランドの気候・環境副大臣は「宿泊施設が確保できない場合、最小限の人数での参加にせざるを得ない」と語り、場合によっては出席しない可能性も示唆している。

 ブラジルの法律ではホテル業界の料金に上限を設定できない。ラゴ氏は「残る方法は関係者との対話を続けることだ」と語り、交渉を継続する姿勢を示した。国連気候変動事務局主導による次回会議が8月11日に予定されており、ブラジル政府はその際に進展を報告することを約束している。

 ラゴ氏は8月1日、開催地変更の可能性を否定し、引き続き国内外の関係者と協議を進める意向を示した。(5)だが、宿泊費高騰が解決されない限り、参加国が減少する事態は避けられないと考えられている。


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