ブラジル本門佛立宗中央寺院日教寺(コレイア教伯ブラジル教区長)は5月25日10時から、サンパウロ市イピランガ区でラテンアメリカ最大の仏教寺院となる日教寺新本堂開堂式を行い、約1500人で盛大に祝った。これに合わせて京都の本山からは、日伯外交関係樹立130周年記念も兼ねて、教団トップの木村日覚上人第27世講有を始め、岡居日実弘通局長、西村清良国際部長以下68人の参詣団が来伯した。

新本堂は、ドン・ペドロ1世が1822年にポルトガルからの独立宣言をしたサンパウロ市イピランガ区、独立公園のすぐ近くという歴史的な場所に位置する。約5千平米の土地に8千平米の建築面積の3階建ての新本堂と、6階建て講堂が建てられている。
本堂床には巨大なコーヒー豆二つの図柄が描かれ、壁面には船室を思わせる丸い高窓があり、笠戸丸移民に始まる教団の歴史を彷彿とさせる意匠が散りばめられている。
当日はブラジル全国から信徒が押しかけた。日本からの教務一同(僧侶団)が縁側を行進、駐車場に陣取った軍警楽隊の演奏に合わせて、君が代とブラジル国歌の斉唱した。木村日覚上人と植松セルジオ教団理事長、コレイア教区長らが本堂入り口でテープカットをして入堂、教務が本堂外陣に陣取ると、コーラス隊の合唱となった。
最初に東原エジソン日教寺局長は、短期間で無事に工事を成し遂げたエダン建設会社や設計担当した横地ユキエ建築士に感謝した上で、「日教寺役員、他寺院の皆様、多くの国々のご参詣・ご奉仕とご有志いただき、ありがとうございます」と手を合わせた。

日本側を代表して岡居日実弘通局長は「茨木日水上人は御題目をブラジルに弘める大志を抱き、一人また一人と御信者を増やし、その日その日を経て、本日を迎えました。布教開始の時に、このような歴史的な場所に、立派な本堂を建設すると想像できたでしょうか。多くの先輩のご苦労の上に今日があり、日本の23倍の国土のブラジルにはまだまだ妙法を弘める余地があります」と挨拶した。
続いて主な来賓名が読み上げられた後、20人以上の僧侶に加えて、参列者1500人による「南無妙法蓮華経」という御題目が新本堂に響き渡るような声で力強く唱題された。
建設過程をコンパクトにした10分の動画が上映され、コレイア教伯教区長は挨拶で、11年前に木村日覚上人が来伯された際、東洋街を仏教パレードし、「御題目を高らかに唱えられ、パレードにご参加下さったことで、大きな激励となった」と振り返り、「猊下からのご有志、日本全国の寺院のご住職、お教務方、ご信者様方、参詣者一同の志厚いご有志、ご支援をいただきましたことに心から深くお礼申し上げます」と深く頭を下げた。
更に「工事が未完成であることを心よりお懺悔申し上げ、今後の信心改良をお誓い申し上げます」と再度、首を垂れた。
ポルトガル語の挨拶で教伯教区長は、「東原日教寺局長と27カ所も候補地を見て回ったが適当な場所がなく落胆して、ひたすら御題目を唱えていた際、み仏が『ここだ!』と指をされたかのように現在の場所が見つかった」との逸話を紹介。旧寺院から82回もトラックで荷物を運んだ。この新本堂で最初に行った行事は幸先のいい、新僧侶の得度式だったとも述べた。
最後に今回参列者にお土産として渡される団扇に書かれた「BRASIL寂光化」の意味が説明された。木村日覚上人の揮毫で、ブラジルを仏の悟りである真理が具現している世界にするとの意味。「寂」は煩悩を離れた静かな境地、「光」は真理を知る光明の意、による。

木村日覚上人は挨拶で「この新本堂完成は、ブラジル仏教初祖、茨木日水上人の宿願を叶えたもの。それは、ただ日教寺だけでなく、ブラジル佛立宗、そしてブラジル仏教全体、宗教界にとっての慶事であります。これからもここにおられる皆さま全員で、盛り立てて頂きたいと思います」と述べた。
更に「この新本堂建立は、本山宥清寺始め、世界中の佛立寺院、京都の宗務本庁にとっても、これは21世紀の一大慶事であり、大変な偉業として、私どもは心から敬意を表し、心からお祝いを申し上げます」との祝辞を贈った。
西森ルイス連邦下議は連邦議会の感謝状を木村日覚上人に贈り、返礼に色紙が議員に渡された。その後、常題目運動サイン入りカード手渡し式と日教寺功労者17人表彰式が行われた。
宗門からご有志贈呈式、講有ご巡教団参、道中安全無事ご帰山の祈願が捧げられた。最後に、未来を支える新世代である子どもや青年ら100人余りが前に列を作り、ポルトガル語の日水上人奉賛歌を大きな声で一斉に唱和した。

1530キロ離れたマット・グロッソ州都クイアバから開堂式に参加した信徒マリアナ・ジェンチレさん(32歳)に1年余り前に入信した動機を尋ねると、「元はキリスト教だがあまり活動していなかった。信仰を求めてネット検索しているときに、私の町に寺があることを知り、参加してみたら、私に合っていると思った」と述べた。
祝辞=木村日覚上人第27世講有

ありがとうございます。
本日は、長年の宿願であった日教寺新本堂が建立でき、晴れて開堂式が執行できました。
誠におめでとうございます。
この新本堂は、ただ日教寺の本堂にとどまらず、ブラジル中央寺院・日教寺新本堂ですから、ブラジル佛立宗全体の慶事であり、これからもブラジル全土の各寺院教講で盛りたてていただきたいと思います。
また、全世界の佛立宗にとりましても、本門佛立宗大本山宥清寺に致しましても一大慶事であり、大変な偉業として心から敬意を表し、お祝い申しあげます。
私は詳しいことは知りませんが、最初は、移転について賛否両論があったと聞いております。
しかし、州政府の行政上、どうしても移転しなくてはならないこととなったと聞いております。
しかし、それがあったからこそ、一つにまとまり、みなそろって本格的な建営御有志に励み、今日を迎えることとなったと思います。
今日の開堂式を迎えるまで、日教寺住職・ブラジル教区長・コレイア教伯導師、局長・東原エジソン氏、また、ブラジル教区理事長・植松セルジオ氏、そして、ブラジル全寺院教会の御住職、局長、ご信者も御有志その他、協力ご奉公され心から随喜感謝申しあげる次第です。
また、本日は、大勢のご来賓が各方面から見えています。ご多忙の中、参列いただいて、誠にありがとうございます。
また、ブラジル全土、全寺院、教会からの参詣教講に加え、私を含めて日本からも祝賀参詣団68名が御祝いに駆けつけさせていただいた次第です。
これから、なお、日教寺、大宣寺はじめ、全ブラジル寺院教会、全教務、全信徒がこの中央寺院・日教寺を支えていただきますよう、宜しくお願い申しあげます。
参詣団68人が寺院行脚=10日間、各地で門祖会(もんそえ)やお勤め
木村日覚上人第27世講有を始め、岡居日実弘通局長、西村清良国際部長以下68人の参詣団は5月15日夜にサンパウロに到着した。翌16日朝8時に新日教寺の御宝前において佛立宗の方式で朝夕おつとめする儀式お看経(おかんきん)を行った。
9時にはプレジデンテ・プイルデンテ市の日扇寺に向かい、現地でお供養が行われた。翌17日朝同市を出発し、昼にリンス市の根本道場・大宣寺に到着。18日には大宣寺で門祖日隆聖人にお報いする法要式、門祖会が奉修された。
19日にはサンパウロ市に向けて出発し、蓮徳寺参詣が行われた。20日には日本移民が上陸したサントスへ行き、上陸記念碑で御題目を上げた。21日には日本移民史料館を見学、午後からイピランガ博物館、新日教寺参詣という忙しいスケジュールだった。
22日はイビラプエラ公園のブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑参拝、ブラスのサンパウロ州立移民資料館見学、23日はタピライ市の佛立聖地参詣、24日はモジ・ダス・クルゼス市の隆昌寺で門祖会が奉修された。
最終日の25日、新日教寺の開堂式が行われ、その夜の飛行機で日本に帰国した。

参詣団の一人、愛媛県高松市の妙泉寺事務局長の黒川信男さん(71歳、愛媛県出身)は「日本では信者の高齢化が進んでいるが、ブラジルでは子供の信徒がたくさんおり、発展している。それを見て、日本に学びを持って帰りたいと思って参加しました」と述べた。