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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=76

2024年11月8日

振り向くと畑中と福川がヤシの木で急造した担い台を運び込んで来た。
「おう、今帰った。――なんだ。それは?」
「彦平さんの熱はちょっと酷すぎるようです。このままでは死んでしまうから、バウルへ連れて行こうと福川と話し合ったのです」
「……」
運平は考えていたが、
「そうしてくれ」と同意した。
若い弟をここで死なしては不憫だし、小屋の中に病人がいては足手まといでもあった。
「畑中、暫くバウルに一緒にいてやってくれんか。事務所の仕事も溜っているから、それを片付けてくれ」
「はい」
畑中たちはテキパキと彦平を運び出して荷馬車に乗せた。
...

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