林野大火災=2州で緊急事態を宣言=最高裁が緊急対策命令

【既報関連】22日に始まったサンパウロ州内陸部での大規模火災が衆目を集めたばかりだが、気候変動やエルニーニョ現象による少雨干ばつに伴う火災急増は他州でも深刻で、ロンドニア州とパラー州が27日に火災による緊急事態を宣言した。

また、フラヴィオ・ジノ最高裁判事は27日、アマゾン地域とパンタナルでの消火要員を、15日以内に可能な限り増強するよう連邦政府に命じた。消火要員には軍や連警、連警道路警察、国家治安部隊などを含む(27日付アジェンシア・ブラジル(1)参照)。
27日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、ロンドニア州政府は官報に、エルニーニョ現象と気候変動に伴う極度の少雨のために2023年下半期に始まった干ばつが厳しさを増し、森林火災が増加したことで緊急事態を宣言したと記しているという。
19日までに発生した今年の出火地点は、自治体内4197カ所、保護地域690カ所の計4887カ所で、10万7216ヘクタール(ha)の森林を焼失した23年の倍にあたる。官報では、乾季はまだ3カ月以上続き、公衆衛生や環境面での損失に加え、深刻な水位低下や湿度低下、森林や市街地の火災の件数やリスクの増加を招くとしている。
アマゾン地域の火災件数は43・2%増えており、ロンドニアは8月だけで火災が23・7%増えた。また、陸路や河川の交通インフラが存在しないか制限されている孤立地域へのアクセスは非常に困難で、消火活動用資材の輸送も妨げられている。また、年次及び複数年度の計画では予測不能な対応が必要となり、災害対応活動にも支障が出ているという。
同州ではポルト・ヴェーリョが3カ月間雨らしい雨を見ていないし、マデイラ川も7~8月としては60年ぶりの低水位となって魚がいなくなり、住民は食物にも事欠く状態だ(26日付G1サイト(3)参照)。
27日付G1サイトなど(4)(5)によると、パラー州の状況も同様で、国立宇宙研究所(Inpe)によると、26日までの出火地点1万4794カ所は、2万1694カ所を記録したマット・グロッソ州に次ぐ全国2位だが、24~25日は1103カ所で全国一だった。同州では緊急事態宣言と共に、先住民によるものと科学的な研究以外の焼き畑などが半年間禁じられた。
26日付G1サイトなど(6)(7)によると、少雨干ばつによる異常乾燥は全国の連邦自治体の半分以上に及んでおり、大規模火災が起きたサンパウロ州では8月の26日間の出火件数が史上最多の3483件に達した。また、ミナス州も13年間で最多の2136件、マット・グロッソ州では昨年同月比で260%増の1万434件、パンタナルでは昨年同月比で3316%増の3758件、セラード地域も昨年同月の倍の1万3865件など、各地で火災が増加。アマゾン地域は2万5193件で全体の半分を占め、8月だけで250万haを焼失している(26日付アジェンシア・ブラジル(8)参照)。
エルニーニョ現象と気候変動の影響による少雨干ばつは他国にも及び、森林火災の大半を占めるブラジルとボリビアは26日、国境地帯での森林火災消火のための合意も結んだ(27日付アジェンシア・ブラジル(9)参照)。