ベネズエラ=伯墨哥3大統領が共同声明=早急な開票結果公表求める=ベ最高裁が開票確認作業へ

【既報関連】ベネズエラのマドゥーロ大統領が、大統領選後の抗議活動で1200人を逮捕したと発表するなど、抗議者に対する政府側の弾圧も激しくなり、米国が野党側勝利を承認する中、ブラジル、メキシコ、コロンビア(哥)の中南米を代表する3大統領は、詳細な開票結果を出すよう共同声明を出した。2日付フォーリャ紙(1)報じている。
ルーラ大統領とメキシコのロペス・オブラドール大統領、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は1日、ベネズエラに大統領選の詳細な開票結果の公表を求めるよう共同声明を出した。「選挙当局に投票箱レベルの詳細な開票結果を速やかに公表するよう求める」とし、公平に結果を検証するべきとした。また、暴力激化を回避し、社会制度を通じて異論を解決すべきと釘を刺した。
ベネズエラの中央選挙委員会(CNE)が規定に記されている「72時間以内の総得票数発表」を守らなかったことに、各国からは失望の声が出ている。
大統領選の2日前にベネズエラに派遣され、当選発表後のマドゥーロ氏との会談も行ったセルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問は1日、レデ局の取材に応え、「我々も他国同様、失望している」と語った。ただ、まだ慎重な姿勢は崩しておらず、「野党側もまだ、マドゥーロ氏に勝ったという証拠を示せていない」と語っている。
一方で、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1日、選挙に勝ったのはエジムンド・ゴンサレス氏との見解を発表し、ゴンサレス氏に祝辞を送っている。(2)
野党連合の民主連合プラットフォーム(PUD)は7月29日、74%相当分の票の確認を行い、ゴンサレス氏が67%対30%で勝っていると主張した。だが、それらの証拠も、正式には公表されていない。
こうした中、マドゥーロ氏は7月31日に最高裁に大統領選の票の確認作業を命じ、最高裁もその段階に入っている。だが、これも票の正当性は保証できるものではない。
ベネズエラでは、前任のチャベス前大統領以降、25年間に及ぶ与党・統一社会党(PSUV)の長期政権により、最高裁判事が大統領寄りになっている上、最高裁長官のカリスリア・ベアトリス・ロドリゲス氏は判事就任前、首都カラカスでPSUV所属市長として政治にも関与。2015年には、兼務している選挙裁判所長官の立場で、マドゥーロ氏の最大の対抗馬だったコリーナ・マチャド氏に対し、出馬禁止令を下している。(3)
同国は昨年、最高裁の再編を行っており、判事の数を32人から20人に減らし、新しい判事の使命も行われている。だが、新しく加わった判事に野党寄りは2人しかいない。
ベネズエラ国内では、選挙結果を疑う国民たちによる抗議行動が続いており、これまでに少なくとも12人が死亡。逮捕者や行方不明者も出ており、国際問題化している。その最中にマドゥーロ大統領は1日、「これまでに1200人を逮捕した」「今後さらに数千人を逮捕するつもりだ」と語り、物議を醸している。(4)
2日には、コリーナ・マチャド氏の政党「進めベネズエラ」のカラカス支部に武装した男性が忍び込んだとの報告が同党の公式アカウントから発表されているし、命の危険を感じたコリーナ・マチャド氏が、逮捕を避けるため、隠れているとも報じられている。(5)
ベネズエラで政治犯として捉えられた人たちの弁護を20年以上している非政府団体フォロ・ペナルのアルフレッド・ロメロ会長によると、「バスを待っていただけの人や、レストランを出たばかりの女性料理人、歩いていただけの15歳の少年など、関係ない人たちも逮捕されている」とし、マドゥーロ政権下の治安当局による逮捕を疑問視している。(6)