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高温多雨=悪天候が食糧生産に影響=異常気象で減産は不可避

2024年3月28日

気候変動が伯国の食糧生産能力に影響を及ぼし得ると語るマリーナ・シルヴァ環境相(©Rovena Rosa/Agencia Brasil)
気候変動が伯国の食糧生産能力に影響を及ぼし得ると語るマリーナ・シルヴァ環境相(©Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 【既報関連】26日付インフォ・マネーサイト(1)が、スノ・リサーチのチーフエコノミストのグスターヴォ・サン氏が26日発表の3月15日締めの広範囲消費者物価指数(IPCA‐15)に関し、高温と過度の雨による悪天候増加が食糧生産と収穫に悪影響を及ぼし、食品価格を圧迫していると語ったと報じたように、異常気象が農業生産にも影響を及ぼしていることを示す記事や発言が続いている。
 一例は、25日付ノチシアス・アグリコラなど(2)(3)が報じた、23/24農年は、肥料や農薬などの値下がりによる生産コストの低下や生産性向上にも関わらず、国内外での価格低下やエル・ニーニョ現象による気候問題のため、利益率がマイナスになる大豆生産農家が多数出るだろうという、DATAGRO Graosのフラヴィオ・ロベルト・デ・フランサ・ジュニオル氏の言葉だ。
 2月27日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、マリーナ・シルヴァ環境相は同日、G20サミットと並行して行われるプログラムのためのイベントで、気候変動が伯国の食糧生産能力に影響を及ぼし得ると発言。この時期はブラジルでも砂漠地帯出現が確認された時で、同相は「国内の複数地域で低湿度地域が拡大しており、ブラジルが地球の食糧安全保障を支援し続けるには気候変動への取り組みが必要」と強調した。
 また、6日付G1サイト(5)によると、マット・グロッソ・ド・スル州のエドゥアルド・リエデルは6日、農務相や農業生産者との会合で、現在の大豆収穫量のマイナスシナリオを考えると、現生産サイクルでの損失は州の穀物収入の40%に達するとし、国の緊急支援を求めた。同知事は、カルロス・ファヴァロ農相が大豆、トウモロコシ、牛肉、牛乳生産で支援の必要を示唆しており、今年の農業生産における気候と市場の影響を最小限に抑えるための措置は穀物の収穫終了前に発表されると期待している。
 この日は、中部から南部にかけての降雨量が平年以下になり、24/25農年のサトウキビの収量が9・8%減り、砂糖やエタノールの供給量が減るとの予想も出ている(6日付G1サイト(6)参照)。
 他方、22日付アジェンシア・ブラジル(7)によると、国立自然災害監視警報センター(Cemaden)の運用とモデリングの総合コーディネーターのマルセロ・セルチ氏は22日、22~23日に予想されていた(実際に発生)リオ州での豪雨など、気候変動による極端な現象がより頻繁になっていると警告すると共に、大西洋の海水温度が通常よりかなり暖かいことも指摘した。近年のブラジルでは寒冷前線やサイクロンによる豪雨も頻繁に起きており、土砂災害や洪水による農業生産への影響も深刻化している。
 気候変動は、他国で減産となった農産物の輸出増や価格上昇といった好結果も生んでいるが、全体を見ると、生産量減や価格上昇で生じるインフレや高温に伴う電力需要増、貯水ダムの水量減といった問題も含めた悪影響は無視し難い(6日付G1サイトなど(8)(9)参照)。
 19日付アジェンシア・ブラジル(10)(11)によると、外務省気候・エネルギー・環境局長で気候変動主席交渉官のアンドレ・アラニャ・コレイア・ド・ラゴ氏は同日、17日はリオ市で体感温度62・3度を記録したことに触れ、地球温暖化への取り組みでは時間を無駄にできないと強調。熱波を肌で感じたことが心理的効果を生み、気候変動との闘いに積極的に関与し始めることへの期待も表明した。


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