中国=補助金で安価な鋼鉄輸出=国内企業「不当」と反発

ウジミナス社イパチンガ工場の第一高炉(Foto: Divulgação/Usiminas)
ウジミナス社イパチンガ工場の第一高炉(Foto: Divulgação/Usiminas)

 中国からの鋼鉄輸出急増により、ブラジルに拠点を置く生産企業各社が圧迫され、高炉停止や投資延期などをせざるを得ない状態に陥っている。12日付エスタード紙(1)が報じている。
 ウジミナス社は11日、ミナス・ジェライス州イパチンガ工場第一高炉の運用停止を発表した。同社のマルセロ・シャラ最高経営責任者(CEO)は、不公正な競争は「ブラジルの産業を荒廃させ、産業生産チェーン全体に影響を及ぼしている」との認識を示した。また、「運営活動に重点を置き」現在の経営モデルを見直すと述べている。
 第一高炉の生産能力は年間60万トン。同社では、27億レアルを投資した第三高炉の改修が完了するところだ。第三高炉は既に商業運転中で、銑鉄の生産能力は、間もなく、年間300万トンのフル生産能力に達する予定だ。
 一方、ルクセンブルクに本社を置くステンレス鋼大手のアペラム社も、「市場における輸入鋼材の過剰と販売減少というブラジル鉄鋼業界が直面する逆境」を考慮し、2024〜25年に予定されていたブラジルでの第3期投資計画の延期を発表した。(2)計画全体の投資額は明らかにされていないが、ミナス・ジェライス州ティモテオ工場への新しい冷間圧延機の設置が含まれている。同プロジェクトの実施中は、最大で1500人の雇用創出が見込まれていた。
 同社南米支社CEOのフェデリコ・エイレス・リマ氏は、世界的な経済の減速に伴う需要の低下に伴って起きた23年の中国鋼鉄の大量輸入が、ブラジルの鋼鉄業界を「窒息させている」と述べた。特に、同社の主力製品であるステンレス鋼および電磁鋼に関して、上半期は中国からの輸入が22年同期と比べて18%増加していると指摘した。一方、市場における中国製品の過剰供給、価格競争、及び需要の減少で、国際価格は1トン当たり800ドル以上低下しているという。
 リマ氏は、中国の鋼鉄は補助金付きで供給されている上、世界で最も大量の炭素排出という問題を抱えていることを指摘し、これが国内の鋼鉄産業の競争力だけでなく、脱炭素化プロセスにも大きな影響を与えていると述べた。彼はこの状況を「非常に深刻で持続不可能」と評価し、米国、メキシコ、欧州連合のメンバー国などが「不当な中国の貿易」に対抗するために措置を講じていることを強調した。
 また、ブラジルも同様の措置(25%の輸入関税)を導入する必要性があり、そうでなければ鋼鉄産業は持続不能な状態が続き、生産の削減、解雇、投資の延期や中止などの苦渋の措置が続くだろうと述べた。
 ブラジル鉄鋼研究所によると、9月の中国鋼鉄輸入量は、昨年同月比で133・8%増の54・9万トンだった。

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