連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第146話

 それと私の眼は無筋力症と言う病気が少しあるとかで、同じ物を長く見ていると段々弱って視覚障害が起きるそうだ。こればかりが理由ではないけど、私がパソコンの練習を止めたのもこれなのだ。
 歯は五十五歳位から総入歯である。今まで何回か作り替えて事足りて来た。自分の親から貰った歯ほど何でも食べられないけど、でもあの五十歳代までの歯痛と歯医者通いを考えれば、総入歯で良かったんだと、後悔はしていない。今は技術が進歩して歯のエンプランタと言うものが出来るそうだ。直接歯茎の骨に埋め込んで絶対丈夫な歯になるそうだけど、新車一台分の金を使ってまでそれをしなくても、今の入れ歯で何も困ってはいない。
 耳の難聴は子供の頃からあったけど、今は普通の四〇パーセント位しか聞こえていないので、サンロッケのSUSを通じてソロカバで補聴器を作って貰ったけど、聞こえ方はつけてもつけなくても同じ位なので、この頃ずっと使っていない。耳にはもうひとつの不具合がある。耳鳴りである。これも五十五歳位から始まった。これは治す薬がないので死ぬまでつき合わねばならない。耳鳴りは気にしなかったら特別不自由は感じない。それよりも「つんぼ」がひどくなると、対人関係のつき合いに支障を来たすことになる。今でも二人向き合って話すには余り問題はないけど、会合(レウニオン)などでは半分位しか聞き取れない。美佐子の話も聞き取れない事が多くて彼女も怒り出すことが再々である。音楽を聴くのはボリュームを上げれば聞こえるので、これはまだ何とかつき合える。「つんぼ」がもっとひどくなれば、補聴器のもっと性能の良いものを買う事も考えねばと思ったり、もうこの侭の状態で死ぬまで暮そうかとも考えたりしている。
 足腰のビッコ・デ・パパガイオにはずっと悩まされて来ているけど、これもその時その時でマッサジスタに行く事にしよう。内臓の器官は今のところ命にかかわるような病気はないけど、今からペッサ(各器官)が老化して弱くなって来ると、すぐ命にかかわる危険性があるので要注意である。前立腺のガンのラジオテラピア治療後、まず再発の心配は薄いと思うけど、今三年半が経っており、あと二年間位血液検査を六ヶ月毎に行わねばならない。その後も定期検査は必要である。

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