インフレ目標が変わる?=市場や為替が敏感に反応=財相はCMNでの協議否定

【既報関連】ルーラ大統領が中央銀行の通貨政策委員会(COPOM)による経済基本金利(Selic)維持を嫌い、カンポス・ネット中銀総裁への批判を繰り返す中で生じたインフレ目標変更への恐れが市場や投資家に影響を及ぼし始めたため、ハダジ財相が14日、インフレ目標の変更は国家通貨審議会(CMN)の議題には入っていないと語ったと14、15日付現地紙、サイトが報じた。
ルーラ政権初のCMNは16日午後に開かれるが、ルーラ氏の中銀総裁批判や、労働者党(PT)がインフレ目標を変更するように圧力をかけている事などで、同件も16日のCMNで協議されるとの情報が流れていた。
だが、ハダジ財相は14日、16日のCMNの議題にインフレ目標変更は入っていないと明言した。インフレ目標はCMNが決めるものの一つで、CMNの構成員はハダジ財相とシモネ・テベテ企画相、カンポス・ネット中銀総裁だ。
ルーラ氏の中銀総裁批判は、基本金利が年13・75%という現状は経済活動を減速化させ、経済成長を妨げるとの考えから出てきたものだ。同様の批判は産業界などからも出ている。
他方、インフレ目標変更の話は、インフレ目標を引き上げれば、広範囲消費者物価指数(IPCA)を目標中央値+-1・5%ポイントに収めるための高金利維持は必要ではなくなると考えたものだが、年度半ばの目標変更は経済・通貨政策への信頼を失わせ、市場が不安定になる原因ともなりかねない。
PTは13日の役員会で、中銀総裁を連邦議会に召喚し、基本金利政策に関する説明を求める事を決めた。
一方で、カンポス・ネット氏は同日のテレビ番組で、中銀も高金利は好んでおらず、できれば下げたいが、物価がコントロールできていなければ困難と明言。金利維持は技術的な判断で、政治的なものではない事、インフレ目標の変更には反対である事にも言及した上、連邦議会での説明要請についても「必要なら何度でも応じる」と答えている。
なお、ハダジ財相はインフレ目標変更は今回の会議の議題外としたが、市場関係者は緊急扱いで協議する可能性もあると見ている。CMNは6月末までに3年後のインフレ目標を決めるが、目標変更は通常の範囲外だ。