連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第128話

・六月十一日 県人会高齢者慰安旅行で、聖北のミナス州境に近いソコーロのホテル・ファゼンダで楽しい休日を過ごした。全ての娯楽施設が揃っていてすばらしい所だ。その近くに熊本県出身の経営するKRILL印のビール工場を見学。大きなタンクから直にコップについで、又、格別に上手い。
・六月二十二日 ひと月前の五月二十二日に私がニッケイ新聞に投書した〈日本の抒情歌や世界の名曲を歌う仲間が欲しい〉という文に対して非常な反響があった。私の投書文が名文だったのか、迷文だったのか。ともかく二十名くらいの方々から同感の電話があって〈長い間私もその様な気持で過ごしてきた。
 私が持っている叔情歌や西洋の名曲のテープをあなたに差し上げます。出来ることならばこのような
 サークルに参加したい〉と言って沢山の方々から沢山のテープが届いた。私も多感な中学から高校時代にこの様な日本の叔情曲や世界でも特に、イギリス、ドイツ、イタリア、アメリカなどの名曲に心を打たれ、よく聴き、よく歌ったもので、それにうっとりと感動を覚えたものであった。そこで私が提唱したのは、この様な曲を聴き、そして皆で歌う雰囲気の場が、或いはサークルの場があったらいいね、との誘いであった。でも、皆から送られて来たテープはそのほとんどが歌だけでカラオケのテープがない。だから、レコード、コンサートの様に聴くだけの会ならそれでも良いけど、私はテープに合わせて自分でも歌ってみたいのである。それでそのテープをあちこち探すけどわずかの曲しか集らない。私も提唄者として賛同してくれた皆様のために何かその様な場を作りたいと思うのだけど、どの様にしてそれを実現させるか、その方法がつかめない。専門の先生を探して指導を受ける場でも良いのではとも思っているけど、今まだその様な気力がない。何か、賛同してくれた皆さんに申し訳ない気持でいっぱいだ。

最新記事