ピラール日本語学校=3年ぶりに母・父の日発表会=笑顔絶えない賑やかな日に

合奏を披露する生徒たち(提供写真)
合奏を披露する生徒たち(提供写真)

 ピラール・ド・スール日本語学校(武安洋校長)主催による母の日・父の日発表会が6日、サンパウロ州ピラール・ド・スール市の同地文協会館にて行われた。コロナ禍のため3年ぶりの開催となったが、会館には父母だけでなく祖父母や文協会員、卒業生など100人近くが訪れ、発表会の開催を多くの人が待ち望んでいた様子がうかがえた。
 始めに岩井司ピラール・ド・スール文協会長、学務理事の中村昭一氏、武安校長より挨拶があり、この日の会の開催に対する喜びや教師や父母に向けたお礼の言葉があった。
 生徒代表の中村ゆかりさん(15歳、4世)は「いつも私達のことを考え、色々な事をしてくれ、毎日頑張ってくれて本当にありがとうございます。出し物の発表をするのは緊張して少し怖いと思っている子もいると思いますが、きっとお母さんたちは喜んでくれると思いますし、私も楽しみにしています。私たちの発表と料理を楽しみにしてください」と父母への感謝の気持ちを述べた。
 コロナ禍が完全に終息していないため、全生徒による合唱は行わず、合奏も高学年生のみで行った。感染リスクを考慮し、クラス合同の発表形式にして時間を短縮するなど、例年とは異なる形の発表プログラムが実施された。それでも例年通り、会場の掃除や準備、夕食作り、後片付けまで全て日本語学校の生徒が行った。
 発表では、幼稚園児によるお遊戯、1年生によるラインダンス、8~10歳の2年生によるダンス、11歳以上の生徒による合奏およびダンス、合わせて5演目が約30分にわたり披露された。
 合奏ではけんばんハーモニカを始め、木琴、鉄琴、ハンドベル、シンバルなどの楽器が見事なハーモニーを奏で、各演目が終了すると会場から大きな拍手が起こり、最終演目の高学年が最後のポーズを決めると一斉に歓声が上がった。
 下田としお君(17歳、3世)は「今年は日本語学校に通える最後の年なので、この好きな行事ができるのか心配していたが、行うと聞いた時『ついに来た~!』と叫ぶほど嬉しかった。高校3年生なのでとても忙しく練習する時間があまり多くなかったが、楽しみながら何かをやることも精神的に大事だと気付いた」と喜びと充実感を見せていた。

両親に感謝の気持ちを表す生徒たち(提供写真)
両親に感謝の気持ちを表す生徒たち(提供写真)

 同校教諭は「去年は対面授業を行ったが、ほとんどの行事ができなかったため、生徒たちは色々な経験や思い出ができず、学校全体が静かな流れの1年間だった。大勢の観客を前にした舞台上での発表、そしてそこに向けて練習するという経験、思い出は子供の成長にとってとても大事なものなので、今年3年ぶりに実施することができて、本当によかった」と話した。
 発表終了後、子供達は手作りのプレゼントを会場の父母に渡し、母親達は感激した面持ちで子供と抱き合ったりして喜びを見せていた。
 その後、母の会会長の増永アリッセさんと父兄会長の斉藤ダビさんによるお祝いのケーキカット、増永さんによる謝辞があり、子供たちが作った食事に移った。
 舞台上では食事を終えた子供達が、この日発表した演目の曲を会場に流すよう教師に再三ねだり、曲に合わせて見よう見真似で覚えた踊りを踊って楽しみ、舞台下では保護者達が談笑しつつその様子を笑顔で見守るなど、笑顔の絶えないにぎやかな光景が1時間近く続いた。
 同教諭は「この発表会を実施することによって、久しぶりに幼児から祖父母までの世代が一堂に会することができた。温かくて本当にいい光景、いい雰囲気で、日本語学校や日系コミュニティの中でつながりや活気が生まれるので実施できてよかったし、3年ぶりに行ったことでそのことを強く再認識した」と、喜びと意義を感じていた。

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