《ブラジル》負債抱える家庭77・7%に=統計開始以来の新記録更新
失業率が2桁を切らない上、所得も低下、インフレ高進で購買力も低下と、様々な悪条件が重なる中、負債を抱える家庭が80%に上ろうとしていると2、3日付現地紙、サイトが報じた。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)によると、4月は各種の負債を抱えている家庭が77・7%に達し、2010年の統計開始以来、最高となった。統計開始年に負債を抱えていた家庭は28・6%だった。
消費者が抱える負債は先付小切手やクレジットカード、商店の払込票、家や車購入時のローン、個人的な融資その他で、電気代や電話代などの生活必需の経費でも支払いが遅れる例が出ている。
負債の返済が遅れたりする原因の一つは失業率の高さだ。失業者の4人に1人は2年以上仕事がない状態が続き、融資返済はもちろん、生活必需の経費の支払いや食料購入にも支障が出ている。
失業率が高止まりし始めたのは2015年からで、ここ2年間はコロナ禍で状況がさらに悪化。働きに出られず、仕事を失った人が出る一方、企業側も収益低下などで苦しみ、従業員を切る必要に駆られたりした。
コロナ禍では、失業率の高止まりで失業期間も長期化している上に経済基本金利の引き上げやインフレ高進などが重なり、負債を抱える家庭や3カ月以上返済が遅れる債務不履行家庭の割合がさらに増えた。4月の場合、債務不履行家庭は28・6%だった。
ブラジルのGDP(国内総生産)の3分の2は消費が占めるが、負債の支払いは家庭所得の30%を占めているという。
短期展望で所得増が見込まれないと、消費者は各種の経費を節約し、支出減を図る。そうすると消費や需要が減り、生産活動も減退する。生産活動減退は雇用減やさらなる需要減という悪循環を生む。現在のブラジルはこのような悪循環から抜け出せずにいるようだ。