《記者コラム》なぜボルソナロは支持率を上げたか=「ポピュリズム2.0」と時限爆弾

ルーラとの差を縮めるボルソナロ

19年7月、バイーア州での落成式に出席したボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 本紙26日付1面で《大統領選支持率調査=ボルソナロが巻き返す=アウシリオや経済効果か》(https://www.brasilnippou.com/2022/220326-13brasil.html)と報じられた。
 具体的には《ダッタフォーリャが24日に発表した大統領選の支持率調査によると、1、2位のルーラ元大統領(労働者党・PT)とボルソナロ大統領(自由党・PL)との差が縮まった》《アンケート調査の1位は、12月の調査に引き続いてルーラ氏だったが、支持率は48%から43%に下がった。一方、ボルソナロ氏は22%から26%に支持率を上げた。決選投票のシミュレーションでも、ルーラ氏が55%対34%で勝ったが、12月は59%対30%でもっと差が開いていた》と言うもの。
 そして《3位はセルジオ・モロ氏(ポデモス)の8%。4位のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)も8%で、共に伸び悩んでいる》とある。
 振り返れば、ニッケイ新聞21年12月18日付《大統領選調査=ルーラ支持率は圧倒的な48%=今選挙なら一発当選=ボルソナロは6割が拒絶》(https://www.nikkeyshimbun.jp/2021/211218-11brasil.html)にあるように、昨年末まではルーラが第1次投票で圧勝する勢いだった。年が明けてから流れが変わってきた。現状ではわずかな変化に過ぎないが、このまま続けば選挙終盤までに状況をひっくり返す可能性がある。
 この勢いに乗ってボルソナロは、この27日に大統領選予備候補(pré-candidatura)として名乗りを上げた。その演説では、軍政時代に政治犯への拷問者として知られるウストラを「民主主義のために戦った旧友」と賞賛するなど、すっかり18年時の選挙モードに戻った感がある。
 一体、ボルソナロ支持率回復の理由は何なのだろうか?

実は多くの政治家がボルソナロ勝利を予測

 エスタード紙24日付でウイリアム・ワック氏は《ジャイル・ボルソナロの支持率調査での緩やかな回復により、ルーラや第3の候補の当選可能性が低くなってきている。ルーラが第1次投票で勝利する可能性を潰したことが意味するのは、PT党のボスは決選投票の前に非常に難しい交渉を強いられることになり、その後の政局運営を困難にすることだ》(https://politica.estadao.com.br/noticias/geral,a-recuperacao-de-bolsonaro,70004017923)と論じている。

 ルーラが圧倒的な支持率をもって第1次投票で当選を決める勢いなら、多くの連邦議員は勝ち馬に乗ろうとしてルーラ支持の側に周り、その後の政局運営を楽にする。だが、第1次選挙での当選が難しいなら当選後の政局運営も困難を伴うものになる。
 今週締め切られる政党移籍期間の連邦議員の動きを見れば、彼らが10月選挙で誰が勝つと思っているかがある程度予想できる。ワック氏のコラムによれば、先週までの現状を見れば、移籍者は全議員のほぼ1割で、大半がセントロン系の政党に移った。つまり、セントロンが支持するボルソナロが巻き返して勝つと多くの政治家が予想していることを示す。多くの政治家が今回の選挙も4年前と同じ、ルーラ/ボルソナロ2極化になると考えているとも言える。

効果を見せる「ポピュリズム2.0」

 では、なぜボルソナロは支持率を回復し始めているのだろうか。いまだ収まらないインフレは、ボルソナロにとって一番頭が痛い問題だ。25日に発表された3月のインフレ指数IPCA15は0・95%。15年3月以来の高さを記録した。

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