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《ブラジル》上院リーダー不在で連邦政府ピンチ=不利な法案が続々と通過=2カ月かけても後任決まらず

2022年2月22日

ベゼーラ上議(Senado)
ベゼーラ上議(Senado)

 上院の政府リーダーが2カ月間も不在という状態が続き、政局調整が難航する状態がさらに続くとみられていることから、連邦政府が嫌う法案承認を止められない状況が長引く可能性が出てきていると、21日付現地紙などが報じている。
 上院の連邦政府リーダーが不在となったのは、昨年の12月15日に、それまでのリーダーだったフェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ上議(民主運動・MDB)がこの役目を降りたためだ。その理由は、同上議が希望した連邦会計検査院(TCU)判事の議会内選挙で、連邦政府側の議員たちが自分を支援しなかったことに腹を立てたためだ。
 ベゼーラ氏はこれまで、反ボルソナロ色が濃かった上院における調整能力(アルチクラソン)が高く評価されてきた。上院で経済問題委員長を務める独立派のオットー・アレンカール上議(PSD・社会民主党)は、「魔法のような力であらゆる危機を乗り越え、政府の意向をうまく伝えることができていた」と評価している。
 だが、ベゼーラ氏が調整役を降りたことにより、様々な問題が生じている。上院では現在、中央銀行理事に指名されたレナト・ジアス・デ・ブリット・ゴメス氏とジオゴ・アブリ・ギレン氏を承認するための口頭試問(サバチーナ)が、「連邦政府が試問を行うのに必要な委員数を集められないため、昨年から委員会が開催できず、延期されたままの状態」になっているという。

 リーダー不在につき、上院では審議再開から2週間で、連邦政府側が嫌う法案がなすすべもなく承認される事態が続いている。その一例に、「高齢者の公共機関の運賃無料」法案がある。この無料分を連邦政府が負担すると、年に50億レアルの支出が増えることになる。
 10日には、警察官や保健部門の公務員はパンデミック期間中も、受けるべき経済的な恩典は制限を受けることなく受給できる法案が上院でも承認された。これは以前、別の法案でボルソナロ大統領が拒否権を行使した内容のものだ。
 こうした状況は、9日に上院が「連邦政府が運輸の建設事業に対し7割の助成金を投資する」という法案が承認された際、政府側が止められなかった時から続いているという。
 この調子では、経済省が強く恐れている大幅な燃料減税の法案を止められるかどうかにも不安の声が高まっている。
 ボルソナロ大統領は新たな上院リーダーとしてロドリゴ・パシェコ議長と同じPSDのアレッシャンドレ・シルヴェイラ上議を指名しようとしたが、PSDの反対にあった。
 その後も、マルコス・ロジェリオ上議(自由党・PL)やエドゥアルド・ゴメス上議(MDB)を候補に挙げたが、いずれも州知事選出馬を希望しており、難色を示した。
 そこで、大統領の所属政党であるPLの上院リーダーのカルロス・ポルチーニョ上議にも声がかかったが、同上議は大統領が強く反対するワクチン・パスポート法案の報告官も務めており、大統領との相性が良くない。こうして上院リーダーが決まらない状況が続いている。


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