《ブラジル》モロの米国報酬問題が悪化か?=TCUに本格捜査の可能性

【既報関連】連邦会計検査院(TCU)担当の検察庁捜査官(MPTCU)たちが、大統領選出馬が予想されるセルジオ・モロ氏が法相辞任後に米国企業から受けていた報酬に関し、不正受給の疑いがあるとしてTCUに資産差し止めを求めるなど、問題が複雑化する様相を見せている。5〜8日付現地紙、サイトが報じている。
モロ氏が20年4月にボルソナロ政権の法相を辞任した後に就職した米国の法律事務所「アルヴァレス&マーサル」から受けた報酬が、脱税容疑などで問題視されている。それは、同事務所が、モロ氏が連邦判事時代に裁いたラヴァ・ジャット作戦での疑惑の建設企業の再建を手がけていたことに関係する。
モロ氏は報酬の合法性を主張し、1月28日に、同事務所から1年間で360万レアルの報酬を受けていたことを明かした。だが、この額はネット上で驚きと反発を招いただけでなく、4日にはMPTCUのルーカス・フルタード副長官が、モロ氏の同事務所からの支払い額の差し止めをTCUに求める事態に発展した。
フルタード副長官によると、モロ氏の公表したデータには同氏が以前にTCUに提出した資料にはなかった新事実があった上、新たな資料には論理性に欠けたところが見られたという。
これに対し、モロ氏の弁護人が6日、 フルタード副長官の行為を「ローフェア(司法の立場を利用して、捜査対象に攻撃的圧力をかけようとする行為)」として抗議し、捜査のお蔵入りを求めた。
この動きは、モロ氏がラヴァ・ジャット判事だった時、ルーラ元大統領の弁護人が行った抗議方法と同じで、一部で注目された。
だが、フルタード副長官はこれに、「法の上で特別な人など存在しない」と反論し、対立した。
他方、モロ氏は7日、アルヴァレス&マーサルがTCUとマスコミに対して公開したモロ氏の全国法人登録台帳(CNPJ)に誤りがあったと発表した。
この件に関しては、TCUで同件を担当するブルーノ・ダンタス判事も「重大な犯罪の可能性がある」と見ている。
だが、この件を捜査するべき管轄機関はTCUではなく、連邦検察庁(MPF)ではないのかという議論もあり、今後の展開が注目されている。