釘打ち機の不注意で胸部直撃=心臓寸前で一命取り留める

胸部に釘が刺さり緊急手術を受けたエデルソンさん(Foto: Hospital Dom Joaquim/ Divulgação)
胸部に釘が刺さり緊急手術を受けたエデルソンさん(Foto: Hospital Dom Joaquim/ Divulgação)
事故で使われたものと同型の釘打ち機(Foto: Divulgação)
事故で使われたものと同型の釘打ち機(Foto: Divulgação)

 釘が心臓を貫く寸前だった――建設作業中の17歳の少年が、空気圧式の釘打ち機から誤って発射された釘を胸部に受け、胸骨を貫通する重傷を負った。釘は心臓のごく近くまで達したが、致命傷には至らず、緊急手術により命を取り留めた。医療関係者は「数ミリの差で生死が分かれた」と述べており、工具の安全管理と取り扱いに対する意識の重要性を改めて突きつける事例となっている。この件は、6日付でグローボ局のテレビ番組「ファンタスチコ」が報じ、世間の注目を集めている。(1)
 事故は6月20日、南部サンタカタリーナ州パッソ・デ・トーレス市で発生。建設現場で補助作業員として働いていたエデルソン・シェフェル・ダ・シルヴァさんが被害を受けた。
 エデルソンさんは当時、木製の天井材の取り付け作業中で、同僚に空気圧式の釘打ち機を手渡そうとした際、何らかの拍子に引き金が作動し、釘が誤って発射された。釘は胸部に命中し、胸骨を貫通。心臓の壁のごく近くにまで達していた。
 使用されていた工具には安全装置が備わっていたが、現場では作業効率を理由に取り外されていたとみられる。エデルソンさんの父親は「安全装置を外して使うケースが多く、それが今回の事故につながった」と証言している。
 エデルソンさんは、事故直後に地元の病院で応急処置を受けた後、約40キロ離れた、心臓外科を専門とする医療機関に搬送された。同院の医師らは心タンポナーデ(心膜内の血液蓄積)などの合併症の有無を確認するため、緊急で超音波検査を実施。心臓の周囲に血液がたまっていることが判明し、直ちに開胸手術の準備が行われた。
 手術は心臓が拍動したままの状態で、3時間半にわたって行われ、極めて高い技術と迅速な判断が求められた。担当医は「このような症例は初めてだった。心臓の筋肉が損傷しており、出血も見られた。心室や心房など、心臓内部の腔にまで到達していたら処置は極めて困難だった」と説明した。
 手術後、エデルソンさんは1週間で退院。現在は自宅で療養しており、胸部に残った傷跡を「第二の人生の証し」と語っている。「ほんのわずかで命を落とすところだった。まさに奇跡」と当時を振り返った。
 こうした釘打ち機による事故は、主に不適切な操作、機械的な不具合、または使用中の注意不足によって引き起こされる。特に安全装置が外されていた場合、釘が胸骨などの硬い組織を貫通し、生命にかかわる臓器に到達するリスクが高まると専門家は警鐘を鳴らしている。
 今回の事故は、釘打ち機などの工具が未成年や経験の浅い作業者の手に渡ることのリスクを示しており、安全対策の再徹底が社会的課題として浮かび上がっている。(2)

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