日本文化を伝える舞台芸術の祭典「第58回芸能祭」が今週末28日(土)と29日(日)10時から、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会大講堂で開催される。日伯友好130周年および文協創立70周年の節目の年を彩る今年の芸能祭では、伝統芸能から現代の創作ダンス、音楽、さらに沖縄文化に至るまで、多彩な演目が披露される。入場無料だが保存可能な品物(砂糖、コーヒー、米、洗剤等)の寄付を呼びかけている。
楠本留巳実行委員長は「計117団体の685人が、1年間練習を重ねた成果を晴れの舞台で披露します。ぜひ皆さん来てご鑑賞の上、拍手を贈ってください。日本文化の多様性とブラジル社会への広がりを一度に体感することができます」と来場を勧めた。第27回から実行委員として協力する井上久弘さんは「日曜日午後に清水享総領事が舞台で歌を披露してくれるそうです。ぜひ皆さん楽しみに見に来てください」と呼びかけた。

日本舞踊の花柳龍千多氏と音楽家の大村吉信氏が相次いで今年亡くなったことを受け、日曜日のプログラム23・24・25番に龍千多氏、43・44・45番に大村氏を偲んで追悼する演目が組まれる予定。
今年新たにカラオケ界のベテラン歌手、谷川セルジオ氏が約30分間の土曜晩に特別ステージを行う。日曜夜の「グランドフィナーレ」では、若者を中心とした創作ダンスグループ「こまどりダンス」が、よさこいソーランを基にした躍動的な舞で最後を飾る。
舞台芸術の核となるのは、やはり日本舞踊だ。京藤間流、藤間流、花柳流などが、それぞれの流儀に則った優雅な舞を披露する予定だ。多くの流派では、子どもたちや若者たちが出演し、伝統の継承にも力が注がれている。吟詠や扇舞、剣舞を演目とする「ブラジル詩吟剣詩舞文化連盟」も参加し、格式ある古典芸能の魅力を伝える。

一方で、郷土芸能や創作舞踊も注目を集める。「鳥取シャンシャン傘踊り」では鈴の音と色とりどりの傘が生む軽快なリズムで観客を魅了する。「新生ACAL」などの若者中心のグループが「よさこいソーラン」で熱気を注ぎ込む。
舞踊のほかにもクラシックや民謡の演奏も目玉だ。琴、三味線、尺八の奏者が集う「ブラジル邦楽協会」による古典曲の合奏、「郷土民謡協会」や「大正琴グループ」による演奏もある。
迫力ある太鼓演奏も芸能祭の定番。丹下節子太鼓道場、一魂太鼓道場、ミカ幼稚園太鼓、琉球国祭り太鼓など力強い演奏で会場を盛り上げる。カラオケ部門も健在で、個人出場者や各団体の代表が日ごろの練習の成果を披露する。