インドネシア火山でブラジル人滑落遭難=救助難航で3日間取り残され

ジュリアナ・マリンス氏を捉えたドローン映像の一部(Foto: Reprodução)
ジュリアナ・マリンス氏を捉えたドローン映像の一部(Foto: Reprodução)

 インドネシアのリンジャニ火山で21日(土)、登山中に滑落遭難したブラジル人女性インフルエンサー、ジュリアナ・マリンス氏(26歳)の救助活動が、悪天候や装備不足などの困難により再三中断されている。23日現在も同氏は約600メートル下の崖下に取り残されているとみられ、家族は救助の遅れを強く批判し、現地当局の対応に懸念を示していると23日付G1など(1)(2)(3)(4)が報じた。
 事故はジュリアナ氏がアジア諸国を巡るバックパッカー旅行中、リンジャニ火山登山に参加した際に発生。登山2日目に疲労を訴え、地元ガイドに休息を申し出ると、ガイドは「じゃあ休んでいて」と言い残し、他の参加者5人と共に山頂を目指しツアーを続行。
 家族によれば、当初伝えられていた「ガイドが付き添っていた」や「ガイドが近くにいた」との説明は事実と異なり、実際は一人で取り残され、その後誰も戻らず、意気消沈して滑落したとみられる。
 滑落遭難後、ジュリアナ氏の姿は他の登山客のドローンにより確認され、映像がSNSを通じて拡散されたことで、家族が事態を知るに至った。倒れた状態で腕を動かし助けを求める様子が映され、自力移動は困難とみられる。眼鏡も失い、視界が著しく制限されている可能性がある。
 救助隊は複数回接近を試みたが、濃霧や滑りやすい岩場、ロープの長さ不足で途中撤退。22日は天候が一時回復したものの250メートル地点で作業を停止し、現場からわずか約350メートル手前で撤退を余儀なくされた。姉マリアナ氏は「一日かけて250メートルしか進めず、引き返した」と救助の遅れに苛立ちを示す。
 現地当局や在ジャカルタ・ブラジル大使館が「水や食料、防寒具を届けた」と説明したが、家族は完全否定。マリアナ氏は「救助隊は現場に到達しておらず、物資も届いていない」と現場の状況との著しい乖離を指摘した。
 一部で拡散された救助到達を装う映像について、家族は「演出で事実と異なる」とし、誤解を招く情報の流布に懸念を示した。実際、ブラジル大使はグローボ局の取材に対し、当初誤った情報を伝えたことを認め、現地当局からの報告内容に誤認があったと釈明した。
 事故後もリンジャニ山は一般登山者に開放されており、家族は「観光客が登る山で家族が命の危機にある」と公的対応の温度差を問題視している。
 ブラジル外務省とブラジル大使館はインドネシア当局に救助の迅速化を要請し、外交ルートで支援と監視を続けている。救助には重量物搬送用ウインチ付き特殊ヘリコプターが必要で、地元政府も事故後72時間以内の空中救助活用を推奨するが、急激な気象変化や突発的な濃霧で視界が悪化し活動が制約されている。家族はヘリ投入を「最後の希望」とし、「時間との戦い」と危機感を募らせている。
 ジュリアナ氏はリオ州ニテロイ出身で、リオ連邦大学でマーケティングを専攻。ポールダンスパフォーマーでもある。インスタグラムでは旅行に関する投稿を中心に発信し、7万8千人以上のフォロワーを抱えるインフルエンサーとして知られている。今年2月から東南アジアを巡る旅を続けており、インドネシアはその一環だった。

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