

「愛に国境はない」――在ブラジル・フランス大使館は12日、ブラジルの「恋人の日(Dia dos Namorados)」に合わせ、ルーラ大統領とフランスのマクロン大統領が抱擁する姿を写した写真とともに、この言葉を添えて公式SNSに投稿し、話題になっていると同日付オ・グローボ紙など(1)(2)が報じた。
写真は今月初旬、ルーラ大統領が訪仏した際に撮影されたものであり、両首脳の親密な関係を象徴するものとして伝えられた。一方で、ブラジル国内のSNSでは、この写真をもとに多くのミーム(ネット上の風刺やパロディ画像)が拡散され、話題を呼んでいる。
ルーラ大統領は、マクロン大統領の招待を受け、国賓として6月4~9日にフランスを訪問した。この訪問中、両首脳は手をつなぐなど、終始親密な様子を見せた。こうした交流は、2024年3月にマクロン大統領がブラジルを訪問した際にも見られ、互いに笑顔を交えながら手を取り合う場面が、SNS上で「ブロマンス(bromance)」として話題となった。
「ブロマンス」とは「ロマンス(romance)」と「ブラザー(brother)」を掛け合わせた造語であり、兄弟のような強い絆と情愛に満ちた男性同士の友情を、ユーモラスに表現した言葉だ。
ブラジル国内外のメディアは、両首脳の関係性を軽妙かつ温かく報じ、またSNS上では2人の親密な空気感が「結婚式の前撮り写真」を彷彿とさせるとして、ミームや画像の拡散を呼んだ。Xの投稿の一つには「ルーラとマクロンが前撮りをしている。アマゾンで式を挙げて、ハネムーンはパリでするんだろうな」とのコメントが添えられていた。
この「ブロマンス」という表現は、単なる個人的な親しさを示すものにとどまらず、両首脳が政治、とりわけ環境問題といった国際的課題において緊密に連携していることの象徴ともなっている。両者の関係性は好意的な距離感を超え、政策面での協調体制の強さをも反映していると受け止められている。
なお、ブラジルの「恋人の日」は6月12日に祝われており、世界の多くの国々が2月14日の「バレンタインデー」を祝うのとは日付が異なる。
その理由は商業的な逸話に起因する。1948年、広告業界の発案により、6月の売上不振を補う目的でこの日が「恋人同士が贈り物を交換する日」として制定された。6月12日が選ばれたのは、翌13日が「結婚の守護聖人」として知られる聖アントニオの祝日にあたり、商業的な目的と宗教的な象徴性が結びついた形で定着した。
この独自の文化は現在、クリスマスと母の日に次ぐブラジルの重要な商業イベントとなっている。(3)