
日伯外交関係樹立130周年を記念して国際交流基金サンパウロ日本文化センターは、日系唯一の落語家らむ音さん初ブラジル公演を、21日から全国4都市(サンパウロ市、モジ・ダス・クルーゼス、ポルト・アレグレ、サルバドール)で無料開催する。公演は1時間程。
らむ音さんは現在日本国内で唯一、プロとして活動する日系ブラジル人落語家。その舞台では日本語に加え、ポルトガル語、英語を織り交ぜるスタイルで、言語の壁を越えて観客を魅了してきた。本公演では初めてブラジルで古典落語の演目を日本語とポルトガル語の両方で披露する。
演目は、江戸時代から語り継がれる古典的な人情噺を中心に、ユーモアを交えながら展開される。日本文化の伝統的要素を大切にしつつ、日系三世としての独自の視点を加味し、観客に新鮮な笑いと共感を届けるという。各地の公演にあわせて、日本語学習者との交流会も実施され、言語と文化の相互理解の場ともなる予定だ。
彼女は日本生まれの日系ブラジル人3世。武蔵野美術大学を卒業後、2017年より落語の世界に身を投じ、落語家・らぶ平師匠のもとで修行を開始。わずか半年後、銀座ブロッサムホールで行われた900人規模の公演にて、「空豆腐(そらどうふ)」を演じて正式に初舞台を踏んだ。日常の出来事を題材にした作品を得意とし、日本とブラジル双方の文化的視点を融合させた語り口に定評がある。
特に注目されるのが「枕(まくら)」と呼ばれる導入部だ。これは本編に入る前に語られる軽妙な小話で、自分の実体験、たとえば日本語が話せなかった頃の苦労やカルチャーギャップのエピソードなどを題材に、観客の心を和ませる工夫を凝らしている。
無料公演日程は次の通り。【モジ・ダス・クルーゼス市】21日(土)16時開演。モジ文協会館(Rua Presidente Campos Salles, 230 – Vila Industrial)。特別出演:和太鼓グループ「友情」。参加方法:要事前登録(無料)/任意で保存食1kgの寄付歓迎。問合せ電話11・4791・2022
【サンパウロ市】22日(日)14時開演。ブラジル日本文化福祉協会小講堂(Rua São Joaquim, 381)。参加方法:入場無料、先着順。問合せ11・3208・1755
【リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ】25日(水)19時開演。オルガ・ヘベルベル劇場(Multipalco Eva Sopher、Praça Marechal Deodoro, s/n – Centro Histórico)参加方法:当日1時間前より整理券配布/入場無料。問合せ51・3211・1138
【バイア州サルバドール】28日(土)10時開演。サルバドール日伯文化協会(ANISA、Rua Campinas de Brotas, 104-E – Brotas)。参加方法:入場無料、問合せ71・4104・0026