
【既報関連】「世界一可愛い君に心ばかりのプレゼントを」――そう記されたメモとともに、自宅に届けられたケーキを口にした直後、17歳の女子高校生が体調を崩し、翌日死亡する事件が1日、サンパウロ大都市圏イタペセリカ・ダ・セラ市で発生した。当初、差出人不明とされていたが、被害者の同級生が毒物を混入させたことを警察が突き止めた。犯行の動機は嫉妬と怒りだったと4日付G1など(1)(2)(3)(4)が報じている。
被害者アナ・ルイーザ・デ・オリヴェイラ・ネーヴェスさんは、同日午後6時頃に帰宅し、自宅に届いたケーキを食べた直後から気分が悪くなり、嘔吐と下痢の症状を訴えた。このケーキは当日午後5時頃、被害者の妹が玄関先で受け取っていたもので、差出人の記載はなかった。その後、容体が悪化したため、父親のシルヴィオさんにより私立病院へ搬送され、医療機関では食中毒との診断を受けた。薬物投与と点滴により一時的に容体が安定したため、同日夜に退院が許可された。
だが翌日になっても症状は改善せず、自宅で意識を失い、再び病院へ搬送されたが、到着時にはすでに心肺停止の状態で、死亡が確認された。医療報告によれば、到着時の彼女は酸素欠乏により皮膚が青紫色に変色(チアノーゼ)し、低体温状態で心拍と呼吸は確認されなかったという。
加害者少女は事件当日、被害者宅に宿泊していた。父親は記者会見で「加害者少女は当日、我が家に泊まり、事件の一部始終を見ていた。娘が体調を崩し、私が病院へ連れて行く場面も目撃していながら、一切の感情を示さなかった。娘が亡くなった後には私に『大丈夫ですか』と声をかけ、抱きしめてきたほどだ。あれほど娘と親しかった彼女に疑いを抱くことなど、思いつかなかった」と証言した。
ケーキは地元の菓子店で購入されたもので、犯人自ら手作りした白いブリガデイロ(チョコレート菓子)を飾り付け、その上から粉末状の亜ヒ酸(ヒ素化合物)をふりかけたという。亜ヒ酸は、ほぼ無味で無臭のため、昔から毒殺に使用されてきた。
配送はアプリを通じて手配され、バイク便業者が担当し、配達料は5レアル(約125円)だった。捜査官は防犯カメラの映像からバイク便のナンバープレートを特定し、業者に接触。これにより差出人の住所が判明した。
事件後、警察の要請により加害少女は一時的に少年矯正施設に収容された。捜査当局によれば、少女は「嫉妬心から毒を混入し、被害者に恐怖を与えようとした」と供述している。
アナ・ルイーザさんはこの少女による最初の被害者ではなかった。5月15日にも別の少女にメッセージ付きのケーキが送られ、その少女も体調を崩して入院する事態となったが命は取り留めていた。
ケーキを製造した菓子店は、商品製造自体は認めているが、被害者宅への配送には一切関与していないと明言。店の許可を得ずに第三者が配送を行ったとしてブランドの名誉毀損を強く非難し、被害者家族への配慮から一時的に営業停止すると決定した。