BYDが5月販売台数4位=新市場開拓、日本勢ごぼう抜き

BYDバイア州工場で量産が開始される「Dolphin Mini」(Foto: Divulgação)
BYDバイア州工場で量産が開始される「Dolphin Mini」(Foto: Divulgação)

 中国の電気自動車(EV)大手BYDは、5月にブラジル国内で9006台を販売し、小売市場においてトヨタやホンダなどの老舗メーカーを上回り、フォルクスワーゲン、フィアット、ゼネラルモーターズ(GM)に次ぐ第4位に躍進した。販売網の急速拡大と、多様な価格帯や車種を取り揃えた戦略的なラインナップが功を奏した結果だと3日付テラなど(1)(2)が報じた。
 BYDは現在、ブラジル国内に約180の販売店を展開し、幅広い顧客層に対応した商品構成を特徴としている。コンパクトカーからSUV(スポーツタイプ多目的車)まで多様な車種を揃え、技術革新と持続可能性を重視した製品戦略により、市場における存在感を高めている。
 ブラジル現地法人のアレシャンドレ・バルジ副社長は、「11年以上の市場調査を経て、技術的に優れ、環境負荷の低い車両に対する需要の高さを認識した」と述べ、新たな市場セグメントの開拓に成功したと説明した。
 同社は、EVおよびハイブリッド車の販売ではブラジル市場で圧倒的なシェアを誇る。5月のEV市場におけるシェアは92・16%に達し、ハイブリッド車も市場全体の約35・8%を占めた。同月にはブラジルの18都市で全乗用車を対象とする小売販売においても首位を獲得するなど電動車の全国的な浸透が伺える。
 国際市場においても、BYDは第2位のテスラを大きく引き離して首位の座を維持しており、同月の電動車両販売台数は38万2476台に達し、前年同月比で1・34%の増加を記録した。
今まで販売されているのは全て輸入車で、それでもこれだけの販売量を達成。BYDは6月26日より、バイア州カマサリの新工場にて乗用車の量産を開始する予定。同工場では年間15万台を生産する計画で、2026年末までに年間30万台に達すると見込んでいる。主にブラジル国内と南米市場向けに販売される。(3)
 アジア圏以外で初の同工場は、乗用車生産に加え、電動バス用シャシー(車体の骨格となる土台部分)およびバッテリー用リチウム・鉄リン酸の加工施設を含む複合的な製造拠点として位置づけられている。(4)
 同社は、業務用車両分野でも積極的な展開を進めており、電動中型トラック「eT18」の新仕様として、絶縁型の高所作業バケットを搭載したモデルを発表した。この仕様は、主に送電線や電力インフラの点検・保守用途に特化したもので、最大15・8メートルの作業高と46kVの絶縁性能を備えている。従来の選別収集用途と併せて、電力会社や都市サービス向けの車両としての活用が期待され、同社の商用EVラインナップの中でも重要な位置付けだ。(5)バルジ氏は「この工場は単なる販売促進を超え、現地雇用の創出とブラジル市場への適応を目的としている」と強調した。
 生産方式はセミノックダウン(SKD、半完成品の車両や部品を輸入して現地で組み立てる方式)を採用し、部分的に組み立てられたシャシーを国内で完成させることで輸入関税の軽減を図り、車両価格の競争力向上を目指す。初期生産モデルには「Dolphin Mini」「Song Plus」「Yuan Plus」が含まれ、今後はハイブリッド・ピックアップトラックなど新型車の導入も計画されている。
 26年までには塗装やプレス加工を含む生産工程の国内化を進め、約70%の国産化率を目指す方針。これにより、BYDはブラジルにおける電動車市場のさらなる拡大とリーダーシップ確立を図っていく構えだ。

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