米国がブラジル渡航警告強化=観光客等に警戒呼びかけ

ドナルド・トランプ米大統領(Foto:Alan Santos /PR)
ドナルド・トランプ米大統領(Foto:Alan Santos /PR)

 在ブラジル米国大使館は5月30日、ブラジル国内における治安悪化を受け、観光客に対して誘拐などの重大な犯罪リスクへの警戒を呼びかける渡航警告を更新した。警告では、都市部での暴力犯罪や組織犯罪の横行が指摘され、特に夜間の移動や危険地域への立ち入りを避けるよう強調していると、5月31日付オエステ誌など(1)(2)(3)が報じた。
 同大使館の公式ウェブサイトに掲載された警告文では、殺人や強盗、車両窃盗などの暴力犯罪が昼夜を問わず都市部で発生していることが指摘されており、ギャング活動や組織犯罪が麻薬取引と密接に関連して広範囲に及んでいると説明されている。
 観光客に対しては、強盗に遭遇した際に抵抗せず、見知らぬ人からの飲み物を受け取らないこと、また夜間の徒歩や日没後の海岸への立ち入りを避けるよう強く促している。犯罪者が出会い系アプリやバーで外国人を標的とし、睡眠薬や薬物を混入して強盗に及ぶ手口が頻発しており、特にリオ市では顕著だと警告されている。
 ブラジルと周辺8カ国との国境付近160キロ圏内は非常に危険であるとして、レベル4「渡航禁止」に分類。対象国はボリビア、コロンビア、ガイアナ、仏領ギアナ、パラグアイ、ペルー、スリナム、ベネズエラ。ただし、イグアス国立公園やパンタナール国立公園は例外で、この制限に含まれない。
 加えてファヴェーラ(スラム街)などの非公式居住区域には、昼夜を問わず決して立ち入らないよう警告されている。仮にツアーなどを通じて訪れる場合でも、警察や旅行業者による安全確保は困難であるとされている。
 連邦直轄区の衛星都市セイランジア、サンタマリア、サンセバスチオン、パラノアについては、18時〜翌6時の立ち入りを避けるよう呼びかけている。米国政府職員に対しては市営バスの利用を控えるよう勧告されており、特に夜間の強盗や暴行のリスクが高いことが理由とされている。
 渡航者に対しては家族や勤務先と連絡が取れる体制を整えること、米国務省のスマートトラベラー登録プログラム(STEP)への登録、渡航前に医療保険や医療搬送保険の加入を検討することも推奨されている。
 米国の警告に対する見解を求め、UOLはブラジル外務省に取材を申し込んだが、連邦政府は本件についてコメントを控える方針であると回答した。

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