JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える=(35)=ほぼ毎週、盆踊り6回も参加=カッポン・ボニート日本語学校 志藤菜南

志藤菜南さん

 2024年9月から、サンパウロ州カッポン・ボニート市にある、カッポン・ボニート日本語学校で青少年活動として派遣されている志藤菜南です。
 カッポン・ボニート市はサンパウロ市からは西に約230km、車で4時間半ほどの人口約4万人の街です。サンパウロ州内で5番目の広大な面積を持つ同市は、大豆やとうもろこしなどの生産が盛んな地域です。
 私が所属しているカッポン・ボニート文化体育協会(以下、文協)は、1952年に設立され、現地の日系社会の中心機関として、盆踊りや運動会、敬老会、焼きそば祭りなど、年間を通して様々なイベントを開催し、日本文化の継承や普及を目指しています。文協の傘下には、私の活動先である日本語学校や太鼓部、相撲部、カラオケ部、婦人会などが協力し合いながら楽しく元気に活動しています。
 2024年度当初は、日本語学校の生徒は2名のみだったのですが、2025年3月時点では計22名の生徒が在籍しており、今後も増加する見込みです。子どもから大人まで、日系・非日系に関わらず、楽しみながら日本語や日本文化を学べる環境をつくることを目標に日々活動しています。
 カッポン・ボニート市は聖南西地区(Sudeste)に属しています。活動を開始して半年が経ちましたが、この聖南西地区は文協や日本語学校同士のつながりがとても強いと感じています。
 各地域の文協や聖南西教育研究会(日本語学校のグループ)が集まる会議は約2カ月に1回の頻度で行われていますし、日本語学校では、お話大会や林間学校、デイキャンプ、青空スポーツ大会など、研究会所属校のイベントが頻繁に開催されています。他にも、聖南西地区には太鼓部、相撲部、カラオケ部、ゲートボール部、陸上部、卓球部、バレー部があり、定期的な大会が開かれています。

盆踊り

 特に印象的だったのは、8月〜11月に聖南西地区の各地で開催されている「盆踊り」です。私が赴任した9月以降は盆踊りが最盛期で、毎週のように近隣地域の盆踊りに連れて行ってもらっては、「日本から来た先生だ!」「先生と日本語で話そう!」とたくさんの方が温かく迎えてくださったことを覚えています。今になって数えてみると、計6回も盆踊りに参加しており、盆踊り時期の終盤になるにつれてすっかり踊りをマスターし、他の地域の盆踊りも盛り上げた自負があります!
 ご存知の通り、ブラジルは非常に大きく、サンパウロ州だけで日本の本州の面積よりも大きいですから、「聖南西地区」と一言でいっても、非常に遠い地域もあります。特に、カッポン・ボニート市は聖南西地区の中でも西部に位置しているので、近隣地域に行くにも車で2〜4時間かかるのが普通です。それでも、聖南西地区の日系社会同士のつながりを大切にし、持ちつ持たれつの関係で支え合っている日系社会と、日本以上に日本文化を大切にしてくれているブラジルの皆さんには頭がさがります。こんな素敵な皆さんにとって少しでも力になれるよう、日本語学校や日本文化の普及の観点で、残りの任期をカッポン・ボニートと聖南西地区のために精一杯活動していきます。

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