ルピ社会保障相=INSS不正知っていた=2023年6月の会議で浮上=高まる辞任への圧力

国立社会保障院(INSS)の関係者が年金などの支給額から不正な月額割引を行い、約60億レアルにも及ぶ公的資金を着服していた疑惑に関して、カルロス・ルピ社会保障相(民主労働党・PDT)が早い時期から、その兆候があるとの報告を受けていたのに見過ごしていたとの報道がが行われている。26日付CNNブラジル(1)が報じている。
ルピ福祉相がINSSの支給額の不正割引について知っていたとする根拠は、同氏が委員長を務める国家社会医療福祉審議会(CNPS)の2023年6月の議事録で確認することができる。
それによると、この時、年金生活者担当のトニア・ガレッティ氏が、INSSの関連団体が行っていたとされる年金支払い時の不正な割引についての技術協力協定(ACT)を議題にあげるようルピ氏に求めていたことが記録されている。
だが、議題は既に決まっていたため、その件が議題にされることはなかった。トニア氏はこの時、「既に問題を指摘する声が相次いでいる」と主張し、議題にすることを強く求めていた。
トニア氏はさらに、INSSとの間でACTを締結している団体の会員数が過去12カ月間で急増しているとして、労働者、INSS、管理機関の安全性を保証するための規制法案が必要だと訴えていた。
だが、ルピ氏はこの時、INSSの割引に関しては「耳にする話」だとしながらも、「より正確な調査が必要であり、すぐには応じられない」として提案を聞き入れなかった。
トニア氏は次の会議でINSS不正疑惑の件を最初の議題にするように頼んだが、それも取り上げられなかった。同件がCNPSで取り扱われたのは2024年4月で、この時は既に連邦会計検査院(TCU)がINSS不正に関する調査を終えており、連邦内部総合統制局(CGU)が監査を始めていた。(2)
このことは23日に連邦警察とCGUによる全国的な捜査が行われた際、ルーラ大統領の耳にも届いている。ルーラ氏はこの時、側近たちからルピ氏を一時的に停職とすることも勧められている。
ルピ氏は28日掲載のフォーリャ紙(3)での取材で、「警告を受けていたのになぜ対処が遅れたのか」との質問を受けた。ルピ氏はそれに対し、「無視していた訳ではない」とし、「提案を受けた時から、INSS給付部局が捜査を始めた。だが、2024年7月になっても何の進展もなかったため、担当理事だったアンドレ・フィデリス氏を解雇している」と弁明している。
ルピ氏はさらに、「私は(ルーラ大統領が23日に解任したINSS院長の)アレッサンドロ・ステファヌット氏の解任に反対したことで批判されているが、十分な弁明は法で定められていることだ」とも反論している。
現在、ルピ氏辞任(解任)を求める動きが強まっているが、PDT下院リーダーのマリオ・エリンジェル下議は、「ルピ氏解任はPDTを解任するのと同義だ」として、同党党首でもあるルピ氏を擁護すると共に、解任した場合のPDTと連邦政府との断絶を示唆した。(4)