クーデタ―疑惑=最高裁が25、26日に審理=来年選挙意識し異例の早さ=前大統領ら被告になるか

25~26日に最高裁で、2022年の大統領選後に起きたクーデター計画疑惑に関し、ボルソナロ前大統領をはじめとする8人の起訴対象者に対する起訴状を受理するか否かの審理が開かれる。今回の審理はボルソナロ氏らが大統領選後に起きたクーデター計画の立案などに関与していた疑惑で被告になるかが決まるため、注目を集める。その裁判プロセスは次の通りだと24日付G1サイト(1)が報じている。
25日と26日の審理の対象となるのは、ボルソナロ氏、ブラジル情報庁(Abin)元長官のアレッシャンドレ・ラマジェン氏、海軍元総司令官のアルミール・ガルニエル・サントス氏、元法相のアンデルソン・トレス氏、大統領府安全保障室(GSI)元長官のアウグスト・エレーノ氏、元国防相のパウロ・セルジオ・ノゲイラ氏、ボルソナロ政権で官房長官などを務め、22年の大統領選ではボルソナロ氏の副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏、前大統領元側近で司法取引を行ったマウロ・シジ氏の8人だ。
ここで問われるのは、「クーデター」「法治的民主主義国家に対する暴力的破壊行為」「武力犯罪組織形成」「損害認定」「公共物破損」の五つの嫌疑だ。
審理を行うのは第1小法廷の5人の判事で、最高裁判事11人全体ではない。
審理はまず、第1小法廷の長官であるクリスチアーノ・ザニン判事が開廷を宣言。続いて、クーデター捜査の報告官であるアレッシャンドレ・デ・モラエス判事による報告書の朗読が行われる。
その後は、連邦検察庁のパウロ・ゴネ長官が30分ほどかけ、起訴対象らからの答弁書分析結果も含めて、それぞれの起訴対象者に関する説明と見解の表明を行う。その後、各被告の弁護団が各15分間で答弁を行う。
この後は弁護側が提起した手続き上の問題その他の予備的問題に対する投票が始まり、報告官のモラエス判事の投票後、フラヴィオ・ジノ判事、ルイス・フクス判事、カルメン・ルシア判事、ザニン判事の順番で投票が行われる。起訴状受理に関する投票は、この後に同じ順番で行われる。
今回の審理はその迅速ぶりで注目されている。25日からの審理は、検察庁が起訴状を提出してから35日後に行われている。これは2023年1月8日三権中枢施設襲撃事件で最初に告発されたアエシオ・ルシオ氏が被告になったのに要した99日より9週間も短く、かつてのメンサロン事件で起訴から告発までに510日かかったのと比べると14倍も早い。メンサロン事件の場合は、ルーラ第1政権で起こった労働者党(PT)の連邦議会工作のスキャンダルが最高裁で審理されるのに7年近い月日を要した。
今回の審理は2026年の選挙の混乱を避けることを理由に早めに行われている。ボルソナロ氏が選挙地域裁から8年間の出馬禁止を命じられ、今回の審理でも苦戦が予想されている中、出馬を明言しているためだ。起訴状受理に関する審理と抗告は第1小法廷が扱い、抗告棄却となれば、改めて証拠や供述の収集が行われ、その後に各人の罪状審理が始まる。
また、一部の最高裁判事たちは、ボルソナロ氏が国外逃亡する可能性があるのではないかとの見方も行っている。ボルソナロ氏は昨年2月にパスポートを没収されたままだが、先週は、三男エドゥアルド氏が、米国での仕事の方が大切だとして、下議を休職して米国に留まると宣言している。(2)(3)