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クーデター疑惑=前大統領ら反論の答弁書=最高裁大法廷審理を要請

2025年3月8日

ジャイール・ボルソナロ前大統領(Foto: Saulo Cruz/Agência Senado)
ジャイール・ボルソナロ前大統領(Foto: Saulo Cruz/Agência Senado)

 【既報関連】2022年大統領選直後のクーデター未遂の疑いでジャイール・ボルソナロ前大統領(自由党・PL)ら34人が検察庁特捜局(PGR)から起訴された件で、ボルソナロ氏の弁護団は、訴状の事実関係の認否や反論などを記載した答弁書を最高裁に提出した。前大統領はいかなる犯罪行為にも関与していないと強調すると共に、最高裁(STF)に対し、現在の第1小法廷ではなく、大法廷で審理するべきだと主張している。また、連警(PF)の捜査資料へのアクセスが制限されており、それが弁護活動に支障をきたしていると指摘。さらに、同件担当判事のアレシャンドレ・デ・モラエス判事の捜査指示が、裁判官としての役割を逸脱していると批判している。6日付G1(1)が報じた。
 クーデター未遂事件関連疑惑では、前大統領をはじめ、軍関係者や同盟者を含む計34人が起訴されており、捜査の詳細はSTFに提出された起訴状に記載されている。STFは今後、PGRが提出した起訴状を受理するか否かを判断するが、受理されればボルソナロ氏らは正式に被告となる。
 最高裁は起訴状提出を受け、起訴された人々に15日間の弁明期間を与えた。弁明期間は6日で終了し、各人やその弁護団が答弁書を提出したが、ボルソナロ氏の弁護団は、事案の重大さと、前大統領という国家権力者が関与していることを理由に、審理は5人の判事からなる小法廷ではなく、11人の判事から成る最高裁大法廷で行うべきだと主張。「これは憲法及びSTF内部規定に基づく必要性からも言えることだ」と述べている。
 また、PFの捜査によって収集された資料への完全なアクセスが与えられていないことを問題視しており、公開されたのは抜粋された一部のみで、ボルソナロ氏や他の捜査対象者の携帯電話のデータも完全には開示されていないという。この制限が証拠の分析を難航させ、証人を指摘することや捜査に含まれるメッセージに異議を唱えることを妨げていると主張。捜査で収集された証拠は、弁護側と完全に共有されるべきだと強調した。
 前大統領の弁護団はさらに、モラエス判事の行動が裁判官として期待される役割を超えており、判事が自ら捜査を指示したことが、起訴体系の公正さを損ねると主張。彼らは刑事事件の捜査と審理を2人の判事が分割担当する「保証人判事制度」導入の必要性も主張しているが、現状ではまだ実施に至っていない。
 弁護団はまた、モラエス判事が、ボルソナロ氏元側近のマウロ・シジ氏の携帯電話のデータを調査するよう命じたのは刑事訴訟法第3―A条違反とし、それ以降の証拠収集や決定は無効とすべきと主張している。
 さらに、ボルソナロ氏がクーデター未遂に関与した証拠は一切ないと強調し、暴力や重大な脅威が国家機関に対して行われた事実はないと述べている。憲法に基づく権力行使を制限するには暴力や脅威が必要であり、捜査期間中、行政、立法、司法は全て、通常通り機能していたと強調。ボルソナロ氏が他の捜査対象者の行動を指示した証拠は一切存在せず、捜査における証拠が欠如していると指摘している。
 加えて、ボルソナロ氏が軍関係者や補佐官と行った会話や演説は、政治的批判の対象となることはあっても、犯罪に該当するものではないと主張しており、2023年1月8日に発生した三権中枢施設襲撃事件が同氏によって計画、奨励、または指示されたものではないと強調。弁護団は、「各自が自発的に行った行為であり、その行動にはボルソナロ氏は一切関与していない」と結論付けている。
 ボルソナロ氏の弁護団は2月に2度、弁明のための期間を83日に延ばすよう要請しているが、モラエス判事は、前大統領らは起訴状に記載されている全ての証拠にアクセスできていることなどを理由にこの要請を棄却している。(2)(3)


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