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サンパウロ市地下鉄調査=バス利用者が大幅減少=在宅やアプリ・2輪増で

2025年2月19日

ラッシュ時のサンパウロ市の幹線道路の様子(Fernando Frazão/ Agência Brasil)
ラッシュ時のサンパウロ市の幹線道路の様子(Fernando Frazão/ Agência Brasil)

 サンパウロ市地下鉄が行った2023年の「起点と終点(OD)調査」により、1967年の統計開始以来初めて、人々が移動する回数が減少したことが明らかになったと11日付メトロポレなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。
 OD調査は10年に1度行われ、通常ならば2027年に行われるはずだったが、都市の移動に直接的な影響を与えた新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、前倒しで調査が行われた。
 今回の調査では、サンパウロ市とその周辺の計39市に住む12歳以上の人3万2千人に、調査前日に通勤通学などの特定の目的での移動を行ったかやその手段を質問した。また、公共交通機関(バス、地下鉄、電車)や個人的な交通手段(自転車、タクシーやアプリの車、徒歩)は、各1回の移動としてカウントされた。
 それによると、2017年の移動回数はほぼ4200万回だったが、23年は17年を15・1%(634・6万回)下回る3566・1万回に止まった。手段別に見ると、公共交通機関での移動は19・8%(300万往復分)減って51・2%となった。個人的な手段での移動は11・6万往復分(0・9%)減り、48・8%を占めたという。公共交通機関での移動そのものは2007年の調査以降、減り始めていたが、公共交通機関による移動が個人的な手段による移動を下回ったのは2002年以来のことだという。
 02年以降の公共交通機関利用者の増加は、2005年に導入され、06年には地下鉄や都電にも拡大されたビリェッテウニコ(BU)の影響が大きい。BUは限定時間内なら同一価格でバスの乗継利用が可能で、バスと地下鉄、バスと都電を乗り継ぐ場合も料金が割引される。
 なお、移動手段の70・5%はエンジン付で、29・5%はエンジンや燃料を使わない自転車と徒歩だったという。
 公共交通機関での移動の内、特に目立つのはバスでの移動が260万回減ったことだ。また、個人的な移動手段も、車両数が22%増えたにも関わらず、自家用車を使った移動回数は約88・6万回減った。これは、タクシーやアプリによる移動が137%、バイクによる移動も16%増えたことが原因だ。
 公共交通機関での移動が特に減ったのはエンブー・ダス・アルテスやイタぺセリカ・ダ・セラ地区(南西部)の27・5%減や、コチア、バルエリ、オザスコ地区(西部)とABC地区(南東部)の33%減だという。
 公共交通機関の利用者が個人的な手段に移行した原因は、アプリのタクシーの利用者の増加だ。伝統的なタクシーとアプリのタクシー利用回数は46・8万回から111・2万回に増えている。
 また、パンデミックによる仕事や学習の形態の変化やUberや99が始めた食事や商品の配達サービスも、移動回数の減少や移動形態の変化を招いた。
 移動の46・2%(1650万回)は通勤、36・2%(1290万回)は通学が目的だったが、人口や所得が増えているのに移動回数が減った主要因はホームオフィスやハイブリッド勤務、通信教育の増加などと見られている。
 地理統計院(IBGE)によると、この間の雇用は11・7%、個人所有の車両数は21・5%、エンジン付の移動手段は19・8%、世帯所得は38・1%増えている。


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