【4日の市況】Ibovespaは小幅下落して一時12万5,000ポイント割れも=レアルは対ドルで12日連続の上昇、1ドル=5.80レアルを下回る水準

 ブラジルの株式市場Ibovespaは火曜日に小幅下落し、一時12万5,000ポイントを割り込んだが、終値は12万5,147ポイントだった。輸出関連銘柄が指数を押し下げた一方、銀行株やWEGが下支えした。投資家は、米国による貿易関税発表に関する展開を注視しつつ、ブラジルでは中央銀行の金融政策委員会(Copom)の議事録に注目した。
 同日朝、ブラジル中央銀行はCopomの議事録を公表し、以下の通り、インフレ期待のアンカリングの崩れ(期待インフレ率の上昇)、経済の過熱度、政策の為替への影響が金融政策を議論する上での重要リスクとして挙げられた。
「委員会の議論で繰り返し指摘されるリスクの一つは、長期的なインフレ期待のアンカリングの崩れである」
「また、経済の過熱がインフレ、特にサービス価格の上昇に与える影響も懸念されている」

「さらに、国内外の政策運営が為替市場に与える影響もインフレ上昇リスクの一因となる」など(Copom議事録より)


米国市場と欧州市場の動向

 米国市場では、主要指数が以下のように推移した。

  • ダウ工業株30種平均(Dow Jones):+0.30%(44,556.04ポイント)
  • S&P 500:+0.72%(6,037.88ポイント)
  • ナスダック(Nasdaq):+1.35%(19,654.02ポイント)

 一方、欧州株式市場は下落。米国のドナルド・トランプ大統領がカナダ・メキシコに25%の関税、中国に10%の関税を課すと発表し、EU(欧州連合)にも言及したことで貿易摩擦の拡大懸念が広がった。欧州の指導者らは報復措置を示唆したため、投資家の警戒感が高まった。

  • 欧州株式指数 Stoxx 600:-0.95%(534.38ポイント)

 市場序盤では2%以上の下落となったが、貿易問題に関する合意の兆しが見えたことで下げ幅は限定的となった。


原油市場の動向

 米国と中国の関税問題が原油価格にも影響を及ぼした。さらに、トランプ大統領がイランに対する「最大限の圧力」政策を復活させ、原油輸出ゼロを目指す方針を示したことも材料視された。

  • WTI原油(米国基準):-0.46ドル(-0.63%)→ 72.70ドル/バレル
  • ブレント原油(国際指標):+0.24ドル(+0.32%)→ 76.20ドル/バレル

ブラジルの金利市場と為替市場

 ブラジルの金利市場では、短期金利は安定し、長期金利は低下した。これは、レアル高や米国債(Treasuries)の利回り低下が影響したためである。

  • 2025年7月物DI金利:14.145%(前日14.129%)
  • 2026年1月物DI金利:14.91%(前日14.901%)
  • 2031年1月物DI金利:14.4%(前日14.48%)
  • 2033年1月物DI金利:14.35%(前日14.429%)

 また、ブラジルのレアルは対ドルで12日連続の上昇となり、1ドル=5.80レアルを下回る水準となった。

  • ドル/レアル(USD/BRL):-0.76% → 5.7719レアル(昨年11月以来の安値)

 この12連続の上昇は、2005年以来の最長記録となる。


ブラジルの財政状況

 ブラジル財務省は2024年末時点の連邦政府債務が7兆3,160億レアル(約146兆円)に達したと発表。2025年末には最大8兆5,000億レアル(約170兆円)に拡大すると予測した。

  • 2024年の増加額:+7,957億レアル(前年比+1.55%)
  • 2025年の予測:7.0兆~8.5兆レアル

 2024年は国内の財政不安や米国の経済不透明感が影響し、ブラジル政府は政策金利(Selic)に連動する債券の発行割合を増やす方針を示した。Selic連動債は市場の変動に強いが、金利が上昇すると負担が増大するリスクもある。


まとめ

  • ブラジル株式市場(Ibovespa)は下落、輸出銘柄が重荷に。
  • 米国市場は上昇したが、トランプ政権の関税政策が懸念材料に。
  • 欧州市場は貿易戦争懸念で下落、EUは対抗措置を示唆。
  • 原油価格はまちまち、トランプ政権の対イラン政策が影響。
  • ブラジルの金利市場は安定、レアル高が続き12日連続の対ドル上昇
  • 政府債務は過去最高、2025年には最大8.5兆レアルに達する見通し。

ブラジル経済は、金利政策・為替動向・外国の貿易摩擦に大きく左右される状況が続くとみられる。

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