19日、サンパウロ市の宮城県人会館で第一回「新春歌謡フェスティバル2025」が開催された。主催は、川原崎隆一郎さんが率いるバンド「415」。15人のバンドメンバーの生演奏で、41人の歌手が歌を披露した。
バンド名「415」は、インターネットのエラーコードからバンドのメンバーが選んだもので、正式名称は「415 Unsupported Media Type」。
約50人のカラオケの生徒を持つ音楽家の広瀬秀雄さんがプレゼンターを務め、各歌手の歌とプロフィールを日本語で紹介した。

ブラジルには、生バンド演奏による「全伯歌謡唱歌コンクール」(通称ゼンパク)があり、毎年6月に開催され、2025年で70回を迎える老舗の音楽祭として知られている。また、年末には「紅白歌合戦」も開催され、ブラジル各地のカラオケ大会で優秀な成績をおさめた個人やグループなどが出場する。
企画・主催の川原崎さんは、「僕たちのバンド415は、ゼンパクで10回近く演奏しています。でも去年第69回から、参加者増加のため、時間がかからないよう、歌手は一番しか歌っちゃいけないということになったんです。一番だけだと、歌の本来の魅力がまったく伝わらない。歌手は高齢の人が多く、記憶力や活動力というようなパワーも衰えていってしまう。だから、ちゃんと音楽を全部演奏する、歌う機会を作りたい、という気持ちがありました。また、紅白歌合戦は、コロニアでうまいと言われているおなじみの人が出るんだけど、もっと他にもいっぱいうまい人はいる。そういう人たちにもスポットを当て、カラオケ大会で審査員がいて、緊張して歌うんじゃなくて、ショーをエンターテイメントとして楽しんでほしいと思ったんです」と企画意図を語った。
最後から3番目に、細川たかしの曲「この蒼い空には」を歌った建築技師のKUNIYOSHI JUNさんは、沖縄県出身の69歳。1960年にブラジルに移民してきたという。「広瀬先生が日本語でアナウンスしてくれたから、特によかったね。歌は小さいときから歌っています。サンパウロには、4つのバンドがあるけど、この415のバンドは、ほとんどが日本人で、とても歌いやすいね」と話した。
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出場者たちは皆、生バンドの演奏でのびのびと歌いあげていた。その姿はとても気持ちよさそうで、取材しながらつい「自分も歌ってみたい」と思ってしまうほどだった。