【5日の市況】ボベスパ指数は反落、前日比0.56%安の13万6,236.37ポイント

 5日のブラジル株式市場で、主要株価指数のボベスパ指数は反落し、前日比0.56%安の13万6,236.37ポイントで取引を終えた。銀行株の下落が重しとなったほか、医療保険大手ハピヴィダが4月の契約者数減少を受けて大きく値を下げた。一方、製紙大手スザノは米キンバリー・クラークとの国際的な合弁事業設立の発表を受けて大幅高となり、上昇銘柄として際立った。

 この日のボベスパは、取引時間中に13万6,030.75ポイントまで下落する場面があった一方、13万7,451.31ポイントまで上昇する局面もあった。出来高は221億2,000万レアルに達した。

 BTGパクチュアル証券の株式デスク責任者、ジェルソン・ザンロレンジ氏は、「足元では不確実性が高まり、投資家のリスク選好を冷やしている」との見方を示す。特に、直近のIOF(金融取引税)の引き上げ発表や、財政の持続可能性に対する市場の懸念が相場に影響を与えているという。「財政の均衡や産業効率といったテーマで、政府の政策運営に対する不信感が根強い」と同氏は指摘し、さらに外国要因も投資家心理に影を落としていると述べた。

 米国市場では、S&P500種株価指数が0.53%下落。テスラ株の下落が響いた。米中間で通商協議の進展報道もあったが、市場の反応は限定的だった。米10年債利回りは終盤にかけて4.3985%まで上昇した。

個別銘柄の動き

▼金融株軟調

 ブラデスコ(BBDC4)は2.92%安と続落。年初来の上昇率が直前までで50%に達していたことから、利益確定売りが優勢となった。イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は1.22%安、サンタンデール・ブラジル(SANB11)は0.31%安、国営のバンコ・ド・ブラジル(BBAS3)も0.49%下落した。

▲スザノ急騰

 スザノ(SUZB3)は6.31%高と大幅高。米キンバリー・クラークと、世界22の衛生用紙(ティッシュ)工場を対象とした合弁会社設立で合意したと発表。スザノは17億ドルを出資し、51%の議決権を取得する。また、残りの49%を将来的に取得できるオプションも保持するという。

▼ハピヴィダ大幅安

 ハピヴィダ(HAPV3)は5.92%安。民間医療保険監督機関ANSの4月統計で、同社の保険契約者が前月比2万8,000人減少したことが判明した。他社の増加傾向とは対照的で、投資家の失望を誘った。なお、スラメリカ(Rede D’Or傘下)、アミル、ポルト・セグーロ、ブラデスコ・サウデなどは増加傾向だった。

▲鉄鋼株まちまち

 ゲルダウ(GGBR4)は3.47%高。バンク・オブ・アメリカが投資判断を「買い」に格上げし、目標株価も17.50レアルから22レアルに引き上げた。一方、CSN(CSNA3)は0.72%安、ウジミナス(USIM5)は0.96%安となり、国内の自動車生産動向が意識された。

▼TOTVS下落

 ソフトウエア大手TOTVS(TOTS3)は2.28%下落。UBS BBが投資判断を「中立」に引き下げた一方、目標株価は43レアルから49レアルに引き上げた。さらに、同社が子会社ディメンサの売却に向けてモルガン・スタンレーを起用したとの報道も材料視された。

▼B3も軟調

 証券取引所運営のB3(B3SA3)は2.65%安。Citiが投資判断を「中立」に引き下げた。年初来の上昇で配当利回りの魅力が相対的に薄れてきたとの判断。前日にはゴールドマン・サックスも同様の判断を示していた。

▲食肉株に明暗

 ミネルバ(BEEF3)は前日に7%超下落した反動で4.9%反発した。一方で、マルフリグ(MRFG3)は1.86%安、JBS(JBSS3)は0.6%高、BRF(BRFS3)は横ばいだった。

■ペトロブラス小幅高

 国営石油会社ペトロブラス(PETR4)は0.03%高。外国での原油価格上昇にもかかわらず、政府による財政改善策としての同社への介入懸念がくすぶる中で、方向感に欠ける展開となった。同社のマグダ・シャンブリアード社長は、同日ロイターに対し、アフリカをブラジル国外での主要な探鉱地域と位置づけていると語った。

■ヴァーレも小幅上昇

 資源大手ヴァーレ(VALE3)は0.27%高。中国・大連取引所で鉄鉱石先物が0.14%下落したにもかかわらず、底堅い動きとなった。


S&P、ブラジル格付け「BB」で据え置き 見通しは安定的

 米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは5日、ブラジルの主権格付けを「BB」で据え置いたと発表した。見通しは「安定的」で、今後2年程度は大きな変更はないとの見方を示した。

 S&Pは2023年12月にブラジルの格付けを「BB-」から「BB」に引き上げており、今回の判断はこれを維持した形だ。昨年の引き上げは、議会による税制改革法案の可決を受けたもので、財政赤字の是正や経済基盤の強化につながると評価されていた。現在はその実施に向けて、議会で詳細な議論が続いている。

 今回の判断により、ブラジルは依然としてS&Pが定める「投資適格(Investment Grade)」の2段階下の水準に位置づけられている。

 経済閣僚の間では、ルーラ大統領の任期中に投資適格級に回復するとの期待もある。S&Pの格付け基準では、次の「BB+」が「高品質だが投機的リスクあり」とされており、「BBB-」に達して初めて最低限の投資適格となる。

 なお、ブラジルを格付けする三大機関のうち、ムーディーズは今週初めに見通しを「安定的」に引き下げたばかり。フィッチ・レーティングスも昨年6月に「BB」で据え置き、見通しを「安定的」としている。

最新記事