4日のブラジル株式市場は、主要株価指数であるボヴェスパ指数が続落し、前日比0.40%安の13万7,001.58ポイントで取引を終えた。構成銘柄のうち、金融株と石油大手ペトロブラスが指数を押し下げた。一方、資源大手ヴァーレや電機のWEGが上昇し、一部銘柄が下支えする展開となった。
外国為替市場では、レアルが対米ドルで下落に転じ、ドルは0.17%高の1ドル=5.645レアルで引けた。金利先物市場(DI)では、満期により動きがまちまちとなった。
米雇用統計に失望、金融政策の行方に不透明感
この日は米国の民間雇用に関する指標であるADP雇用統計が発表され、事前予想を大きく下回ったことが市場心理を冷やした。ただ、米国株は下げ渋り、主要3指数はまちまちの展開となった。
米投資会社ホライズン・インベストメンツのマイク・ディクソン氏は「予想ほど悪くはない」とし、同指標が一時的なノイズである可能性を指摘。「本命は6日発表の雇用統計(ペイロール)であり、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策判断に影響する」と述べた。インフレ指標についても「緩やかで健全な傾向にある」との見方を示した。
一方、ドナルド・トランプ大統領はFRBのパウエル議長を再び批判し、「利下げの判断が遅すぎる」として圧力を強めている。
欧州市場は独財政出動を好感 ウクライナ情勢に緊張感も
欧州市場は、ドイツ政府の財政支出策が好感され、株価は総じて上昇。ただ、ウクライナ戦争を巡る緊張は高まっており、核兵器使用に言及が再び浮上した。トランプ氏はこの日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったとされるが、和平の実現にはなお時間を要するとの見方が広がっている。
ブラジルでは、農業や税制改革に注目
フランスを訪問中のルーラ大統領は、13年ぶりのブラジル大統領による国賓訪問となった。一方、国内ではIOF(金融取引税)の見直しを巡り、フェルナンド・アダジ財務相の決断が8日(日)に注目されている。
農業関連では、ファヴァロ農相が鳥インフルエンザの終息を宣言し、国際的な禁輸措置の緩和交渉を進めていると表明。ただ、これに反応した食肉関連株は下落。ミネルヴァ(BEEF3)は社債買い戻し実施の翌日となるこの日、7.13%安と大幅に売られた。BRF(BRFS3)とマーフリグ(MRFG3)も値動きが荒く、最終的にはいずれも前日比横ばいとなった。両社の統合交渉については、独占禁止当局(CADE)が条件なしで承認した。
鉄鋼株は米国の関税引き上げで軟調
前日は上昇した鉄鋼株だが、この日は米国による鉄鋼・アルミニウム関税の引き上げが影響し下落。ゲルダウ(GGBR4)は0.62%安、ウジミナス(USIM5)は1.14%安となった。
ペトロブラスが下落 銀行株にも売り
原油価格の下落を受け、国営石油会社ペトロブラス(PETR4)は2.75%安と大きく下落。XPインベストメントは「業界に課される新たな税制の不確実性が、同社の重荷となっている」と指摘する。
銀行株も軒並み下落し、ボベスパ指数の下押し要因となった。中でもブラジル銀行(BBAS3)は2.74%安と大幅安で、今年に入り4%以上の下落となっている。
明暗分かれる中、ヴァーレやWEGが健闘
一方で、資源大手ヴァーレ(VALE3)は0.46%高と堅調に推移。電機機器のWEG(WEGE3)は「不確実な環境下でも強い銘柄」として注目され、3.50%高と大きく買われた。住宅建設のディレショナル(DIRR3)も0.41%高と堅調だった。
欧州中銀、利下げの公算 市場の振れはなお大きく
今週の注目材料としては、欧州中央銀行(ECB)が5日(木)に予定する政策金利の発表が挙げられる。市場では0.25ポイントの利下げで、政策金利を年2%に引き下げるとの見方が優勢だが、相場のボラティリティ(変動性)は依然高い。
ブラジル政府、27.5億ドルの外債発行 外国投資家から高い需要
ブラジル財務省は4日、米ドル建て外債(グローバル債)を27億5,000万ドル発行したと発表した。内訳は、5年債が15億ドル(利回り年5.68%)、10年債が12.5億ドル(利回り年6.73%)。5年債は2025年11月6日償還、10年債は2034年3月15日償還である。
同省によると、今回の発行に対する需要は極めて強く、最大時には応募総額が109億ドルに達し、発行額の約4倍に。これは過去7年で最も高い倍率となったという。欧米の機関投資家の参加が多く、配分の87%が欧州と北米、11.6%が中南米からの投資家だった。
今回の起債は、債務の平均償還年限の延長や、ブラジル企業による将来の外国起債の参考指標(ベンチマーク)形成にも寄与すると財務省は説明している。
主幹事はBNPパリバ、シティグループ、サンタンデールの3行。受渡日は6月11日の予定。
ドル、5.64レアルに上昇 税制議論と政権支持率の低下を警戒
為替市場では、ドルが5.64レアルまで上昇し、前日比0.14%高で引けた。世界的にはドル安が進む中、ブラジル国内の要因がドル高に作用した。市場では、IOF税の代替措置となる財政パッケージの行方や、ルーラ政権の支持率低下が意識された。
なお、年初来ではドルは対レアルで8.64%安となっている。