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世界初=単回接種デング熱ワクチンを申請=85%審査終了、25年に100万回分

2024年12月18日

ブタンタン研究所製ワクチン(© BUTANTAN/Divulgação)
ブタンタン研究所製ワクチン(© BUTANTAN/Divulgação)

 サンパウロ市のブタンタン研究所は16日、世界初となる単回投与型デング熱ワクチンの承認を国家衛生監督庁(ANVISA)に申請した。臨床試験では、症候性デング熱の予防効果が約80%、重症例に対する効果が89%であることが確認されている。承認されれば、2025年に100万回分、3年以内に計1億回分の供給を実現する見込みだと、同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。
 「ブタンタン―DV」と呼ばれるワクチンは四つの型のデングウイルスに対して感染予防効果を持つ四価ワクチンで、接種対象年齢は2歳以上、60歳未満とされている。臨床試験は今年6月、最後の被験者が5年間の追跡調査を完了した時点で終了した。
 同研究所によると、ワクチンは接種後10〜15日で効果が現れ、3年8カ月後でもデングウイルス1型と2型に対する感染予防効果が維持される。また、第2相試験での有効性は79・6%、第三相試験では、重症例および警告症状を伴うデング熱に対する予防効果が89%という好結果が出ており、最大5年間の有効性と安全性も確認された。
 同研究所のエスペル・カラス所長は、今回の申請をブラジル医療科学の重要な節目と位置づける。同ワクチンは2000年代に米国で開発された技術を基盤とし、ブラジル国内でブタンタン研究所に導入後、大規模な投資を経て臨床評価が実施された。研究資金はサンパウロ州調査研究支援機関(Fapesp)やサンパウロ州政府、国立経済社会開発銀行(BNDES)、保健省などの国内資金で賄われている。
 申請は継続的提出方式が採用されており、データ提出が順次進められることで審査の迅速化が期待されている。カラス所長は、24年初頭のデング熱急増を受け、ANVISAが柔軟に対応したことに触れ、「すでに85%の書類審査が終了しており、最終結果を待っている」と述べた。
 保健省とも協議が進んでおり、接種実施に向けた準備が進行しているが、広範な接種には生産と物流の課題も指摘されている。
 ブラジルでは今年、デング熱症例が3倍以上に急増。死者は昨年の5倍を超えており、気候変動に伴う気温上昇がさらなる感染拡大を招く恐れがある。現在は、武田薬品製デング熱ワクチン「Qdenga」が公的機関で提供されているが、2回の接種が必要な上に供給量が限られており、全体の10%の自治体でしか対応できていない。ブタンタン研究所では、ANVISAの承認が得られれば、27年までに1億回分の供給を目指すとしている。


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