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特別寄稿=在住者レポート=パラグアイは今=日本と南米の道路網の比較=5月11日版=アディルザス代表 硯田一弘(すずりだ かずひろ)

 皆さんは日本の道路の総延長距離がどのくらいかご存知でしょうか?
国土交通省によると、日本の道路の総延長は2021年3月31日現在128万3725・6kmなのだそうです。1億2500万人の人口で割り戻すと、国民一人当たり10mという数字になります。自動車保有車両数は8302万4665台で、一台あたり約15m。以前、日本中のクルマが一斉に道路に出たら納まりきれないという話を聞いたことがありますが、15mあればそこそこ納まる気もします。
 さて、翻って7日付5dias紙に掲載されたパラグアイの道路事情に関する記事で、南米の道路事情について考えてみます(https://www.5dias.com.py/analisis-macro/paraguay-ocupa-uno-de-los-ultimos-puestos-en-el-indice-de-infraestructura-vial)。

7日付5dias紙に掲載された南米諸国の国別の道路総延長距離

 この記事によると、パラグアイの国道の総延長は4万9434km、日本の26分の1という数字で、随分少ない印象を受けます。
 最も長いアルゼンチンで85万5713km、大国ブラジルは72万7041km。でも、この数字を日本と同様に人口や保有自動車数で割るとどうなるでしょうか?
 アルゼンチンの人口は4623万人(18・5m/人)で、自動車は2163万台(40m/台)。
 ブラジルは人口2億1530万人(3・3m/人)で、自動車は9386万台(7・7m/台)。
 パラグアイは人口678万人(6・3m/人)で、自動車は187万台(26m/台)。
 南米各国の自動車台数は2016年前後の数字ですから、現在はもっと多くなっています。ただ、道路の整備も進んでいますから、比較の目安としてはこれでも良いでしょう。
 最初にご紹介した記事では、面積1千キロ平米当たりの道路延長距離でパラグアイの開発が未熟であると指摘していますが、人口密度や主要産業が農牧業であることを考慮すると、この見方は必ずしも正しくないと思われます。
 ただ、南米南部各国では今後も人口の増加に伴って自動車の保有台数も増えることが確実視されますので、道路の整備が急務なのも事実であり、そのためのインフラ整備資金の充当も政府にとって重要な課題であると言えます。
 先週5月1日には、パラグアイ国道一号線の再整備に関する国土交通大臣の発表もありました。
 一方、岸田総理の御来パに同行して取材に来られた政府関係機関の方を御案内して、世界最大の水力発電ダムを有するイタイプ公団に行ってきましたが、ここで対応して下さったプロジェクト関係者は「電気の有効活用の一つとして、全国の国道の要所に電気自動車の給電スタンドを設置しており、電気自動車のためのインフラという観点では、パラグアイは世界で最も整備が進んだ国である」と豪語しておられました。
 道路の舗装整備だけでなく、電気自動車のための設備の充実を同時に行うという点では、人口や自動車の台数が少ないパラグアイの方が、大国よりもスピーディーに物事が運ぶものだと感心しました。
 因みに下の図は、主要各国の高速道路の距離数を示したものですが、日本は道路総延長が128万kmなのに、高速道路は僅か8050km(国交省の最新データでも9100km)ということで、ブラジルを下回っています。能登半島地震の例を見るまでもなく、インフラ整備に掛かるコストも今後の課題となる訳で、課金されない道路の比率が高いということは、税金でのカバー比率が高いということにもなりますので、納税者としては注視が必要かと思います。

高速道路と幹線道路のキロ数が最も多い国ランキング(https://elordenmundial.com/mapas-y-graficos/paises-con-mas-kilometros-autovias-autopistas/

 道路インフラが改善されることで、農産物の物流にも変化が訪れます。交通インフラの進化からも目が離せない南米です。

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