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アルゼンチンが米国製F16戦闘機導入=中国と距離置く姿勢鮮明に

2024年5月18日

ミレイ大統領(右)とルイス・ペトリ国防相(左)(X @luispetri)
ミレイ大統領(右)とルイス・ペトリ国防相(左)(X @luispetri)

 財政緊縮策を推進してきたアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が先月、米国製のF16戦闘機24機をデンマークから購入することを決定、1983年以来最大の軍事的投資となった。これは軍事能力を回復して米国との関係を強化する一環とみられる。その一方で中国製戦闘機を選択する可能性については否定されており、アルゼンチンが中国との関係を後退させる方向に動いていると16日付エスタード紙(1)が報じた。
 アルゼンチン政府によれば、F16戦闘機の購入に3億ドルかかる予定だが、現地紙ラ・ナシオンは、この契約には武器パッケージが含まれているため、その額は6億5千万ドルに達する可能性が高いと報じている。最初の機体は年内にブエノスアイレスに到着する予定だという。
 ルイス・ペトリ国防相は16日、デンマークのスクリッドストラップ空軍基地で行われた契約調印式に出席し、「今日我々は1983年以来最も重要な軍事買収を完了する。これらの戦闘機により、我が国の防衛政策は重要な一歩を踏み出す」と述べた。
 財政緊縮の重要性を説く傍ら、ミレイ氏とペトリ氏は政権発足当初からアルゼンチン軍の装備改善に強い関心を持っていた。軍用機購入交渉はクリスティーナ・キルチネル元政権から続いていたという。
 アルゼンチン政府はF16の購入前に様々なモデルを評価し、イスラエル製のIAIクフィル戦闘機や、中国とパキスタンが共同生産しているJF17戦闘機の購入も検討した。評価はアルベルト・フェルナンデス前政権下で行われ、ミレイ氏は最終的な契約を結んだだけに過ぎない。
 デンマーク空軍は最新の米国製F35戦闘機への更新を行うため、F16の19機がウクライナに寄贈され、24機がアルゼンチンに売却された。
 F16の選択は、ミレイ政権の対米協調の新たな一歩を意味する。米国が生産する軍用機であるため米国政府の承認必要だったが、許可は難なく下りた。
 2月にはアントニー・ブリンケン米国務長官、4月にはローラ・ジェーン・リチャードソン米陸軍南部司令官がアルゼンチンに訪問し、ここ数カ月間で両国の接近が進んでいる。
 米国は4月、アルゼンチンの国防部門を強化するため、対外軍事資金援助プログラムを通じて4千万ドルの援助を承認した。アルゼンチンが同プログラムを通じて資金を受け取るのは2003年以来初のことだ。
 専門家によると、ミレイ氏は防衛分野が米国との距離を縮める一方で、米国は中国の存在により、以前にも増して中南米地域の安全保障と防衛の問題を優先していると説明する。
 中国は中南米地域の国々への軍事装備の売却を増やしている。軍事関係は主にベネズエラで進んでおり、2006〜22年までに6億2900万米ドルの軍事装備を提供した。この動きはペルー、エクアドル、ボリビアでも進んでいる。
 米国にとりアルゼンチンがF16を選択することは、中国が同地域での勢力拡大を阻止するために好都合だ。専門家は「超音速戦闘機は空軍の中核であり、中国が地域で持つ他の契約はこの規模ではない。アルゼンチン空軍の中核が中国製の戦闘機であれば、それは米国にとって地政学的に非常に問題があり、中国とアルゼンチンの関係の進展を示す」と説明する。
 ただし専門家らは、ミレイ政権が防衛問題で米国に接近する一方で、外交政策では中国にも門戸を閉ざさないと指摘。4月末にはディアナ・モンディーノ外相を中国に派遣し、両国の外交関係樹立52周年を祝い、二国間の良好な関係を維持する姿勢を示した。


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